フェイバリット・スターB

チャールズ・ブロンソン

10連発!

 

「ウーン、マンダム!」の声を聞いて30年。

当時日本で人気絶頂だったブロンソンも、

今じゃ知っている人の数の方が少なくなってしまった。

妻にも先立たれ、映画の本数もメッキリ減ってしまったブロンソンだが、

それでも本人は、生涯現役と宣言(勝手に推測)して、

今でも映画に出続けている(らしい)。

そんなブロンソンに敬意を表して、

今回は数あるブロンソン映画の中から、

独断と偏見で10本セレクトして、

10連発をやってみた。

「俺は死なない!」という、

ブロンソンの叫びが聞こえてくるような

10連発、いざスタート!

 

★某月某日午後6時00分

色々考えた末、取り敢えず、アメリカに凱旋した70年代以降の作品を、セレクトした。そして、それを年代順に観て行く事に決定した。という訳で1本目は『シンジケート』(73)。

           

この作品、まだ日本でビデオ・リリースされていないので、昔に入手した輸入LDで鑑賞。ブロンソンがヨーロッパからアメリカに帰って来たのと同時に、イタリアからアメリカに上陸したディノ・デ・ラウレンティースとの『バラキ』『さらばバルデス』に次ぐコンビ作。それまでは、まだイタリアに居を構えていたラウレンティースが、本格的にアメリカに腰を落ち着けての1作目。

ブロンソン初の刑事役という事で、ニューヨークを舞台に大暴れのブロンソン、当然ながら『ダーティハリー』を意識したかのような、ハミ出し刑事アクションものに仕上がっている。ただ、一種のマフィア映画としても描かれているのは、やはり『バラキ』の影響か。

今の感覚からすると、こぢんまりとまとまった、B級アクションものって感じだが、いつもは寡黙なブロンソンが、怒鳴り、走り、飛んで、撃つという、ビンビンの行動派刑事に扮しているのを見ると、思わず「元気だ!」と嬉しくなってしまった。

因みに監督は、ブロンソンとはコンビの多かったマイケル・ウィナー。これがコンビの3本目に当たる作品だが、最終的に6本のコンビ作がある。

 

★午後7時45分

続いての2本目は、ブロンソンの当たり役のルーツ『狼よさらば』(74)。

       

ご存知(って、ファンしか知らないと思うが)ブロンソン一世一代の当たり役。そして永遠のライフワークとなった、闇の処刑人・ポール・カージーの暗躍を描いた、いわゆる“デス・ウィッシュ・シリーズ”の記念すべき第1作。サプ・タイトルを付けるなら、「処刑人・誕生篇」ってとこか。監督は『シンジケート』に続いて、マイケル・ウィナー。

後に、並みの戦争映画顔負けの、ド派手な銃撃アクションものと化してしまった続編たちとは違い、この1作目は、当時のラウレンティースの嗜好でもあった社会派映画の様相をまだまだ呈しているようだが、作品のテーマである、復讐による殺人は正義か、罪かという問題提起が、色々と考えさせられる、人間ドラマとしてもなかなか見応えある映画になっている。

最初に脚本を読んだブロンソンが、「これはダスティン・ホフマンの役だ」と思い、出演には好意的ではなかったようだが、前半では、一般のサラリーマンである主人公が、後半になるに従って、徐々に狼としての牙をむいていく辺りの心情変化の演技は、大根と言われたブロンソンでも、上手く表現出来ており、それが成功の要因でもあるだろう。

しかし、前半で、老眼鏡をかけて新聞を読むブロンソンを見た時は、かなりショックだったナー。当時で、52歳だったんだから、それも当然だろうけど、そんな熟年の彼が、後半で復讐の狼と化し、夜な夜な街に出掛けて、ダニ共をブチ殺して回るというシチュエーションが、かなり効果的だったのは、計算されたものだったのかも知れない。

因みに、ブロンソン家に押し入る強盗の一人に、これが映画デビューとなるジェフ・ゴールドブラムが扮していた。昔はダニ、その後がハエ、そして今や、エイリアンや恐竜相手に戦うヒーローっていうのは、ハリウッドの歴史そのものっていう感じがしました。ちょっと違うか!?

 

★午後9時30分

続く3本目は、意外に知られていないブロンソン=シーゲルの傑作『テレフォン』(77)の登場。

                  

ブロンソンとドン・シーゲル監督コンビの、最初で最後のコラボレーション。シーゲルと言えばイーストウッドとのコンビが超有名だが、このブロンソンと1本だけしかコンビを組んでいないというのは、今思うと不思議でならない。今、思い出すと、セルジオ・レオーネが『荒野の用心棒』で主役を熱望していたのがブロンソンで、結局『ウエスタン』でやっと実現した訳だが、今回のシーゲルとのコンビといい、もしかしてブロンソンは、イーストウッド御用達の監督と、一度は映画を撮ってみたいと、思っていたのかも知れない。

しかしこの映画、今観ても十分面白いのだが、スタッフのメンバーを見ているだけでも、超豪華な顔触れが揃っているのには驚かされる。監督のドン・シーゲルは勿論の事、原作が『合衆国最後の日』や『ダイ・ハード2』の原作者でもあるウォルター・ウェイジャーだし、それを脚色しているのが、『タワーリング インフェルノ』のスターリング・シリファントと、『カプリコン・1』の監督でもあるピーター・ハイアムズっていうのが凄い。他にも、音楽は『ダーティハリー』のラロ・シフリンだし、撮影は『ジョーズ』のマイケル・バトラーと、当時の面白い映画に関連した一流スタッフが集められているのが、とにかく凄い。

肝心の内容の方は、実に何とも、冷戦の徒花とも言える、スパイ・アクションものになっているのだが、そのアイディアが抜群。普段、何気なくアメリカの一般市民として生活しているソ連のスパイたちが、ある詩を聞く事によって、VIPを暗殺したり、重要拠点を爆破したりするというのは、なかなか面白い。アクション度はそれ程でもないのに、各シーンのサスペンス描写が強烈で、シーゲルの厚みのある演出がタップリと楽しめる、まさに傑作に仕上がっている。

それにリー・レミックの美しさも素晴らしかったナー。当時、既に結構な歳だったとは思うけど、それでこの美しさにはビックリ。ブロンソンはとてもKGBには見えないと思いつつも、両親からロシア系の血を引いているとの事なので、このキャスティングは間違いではなかった訳だ。

もう一つのイーストウッド繋がりとして、『ダーティハリー3』の熱血女刑事を演じたタイン・デイリーが、アメリカの情報局員役として出ていた。イーストウッドがシーゲルに薦めたのかも知れない。

 

★午後11時20分

4本目は、70年代が終わって80年代のブロンソンに突入。まずはシリーズ第2弾『ロサンゼルス』。

             

まさか出来るとは思っていなかった、“デス・ウィッシュ・シリーズ”の第2弾。タイトル通り、今回はロスが舞台で、確か前作のラストではシカゴへ転勤になっていた筈だから、またまた転勤したという事なんだろう。忙しいお方だ。前作同様、マイケル・ウィナーの監督作。

実生活での愛妻・ジル・アイアランドも出ているのだが、前半早々に姿を消し、遂に娘も殺されてしまった主人公カージーは、今度は単独で犯人探しの旅に出る。前作では、妻を殺し、娘を植物人間にされた主人公は、犯人とは別のダニ共を殺しまくったのだが、今回は直接の犯人を、一人・一人追いつめていくのが見所。犯人を捜すのに、わざわざ殺し屋(?)の扮装に着替えるのも、力が入っていて、カージーさんの執念が感じられました。サブ・タイトルを付けるなら、“デス・ウィッシュ2/追撃篇”という感じでしょうか。

前作にも出ていたビンセント・ガーディニア扮する刑事が、またまた登場。今度は主人公を助ける立場になっているのだが、敢えなく憤死。死ぬ直前に、「後は頼んだゾ」っていう遺言を残していく辺りに、前作の問題提起がここでは完全になくなっている事を証明している。つまり、復讐の為なら、殺しても構わないという、姿勢である。

それはラスト・シーンにも反映されていて、最後の一人を病院で仕留めたカージーは、警察陣に包囲された中を、何と、病院の職員(カーペンター映画でお馴染みのチャールズ・サイファーズ)の協力によって、見事脱出に成功する。つまり、主人公の行動を、一般市民も理解しているという事になる訳で、これで完全にヴィジランティズム肯定映画と成り得たのだった。

 

★午前0時55分

ここらでちょっと休憩。夜食にラーメンを食べ、熱いコーヒーを飲んで眠気を覚ます。ブロンソン映画と一口にいっても、全部が全部、同じような映画ばかりじゃないから、意外に飽きが来ないものだ。シリーズものを続けて観るより、こうして、バラバラに観た方が、より、ジックリと観れて、よかったと思う。

 

★午前1時15分

5本目は、本邦未公開作品『殺人鬼』(83)。

                  

本邦未公開といっても、テレビやビデオではお馴染みの作品。この『殺人鬼』というタイトルは、ビデオ・リリース時のタイトルで、テレビ放映時(淀長さんの日曜洋画劇場だった)は『真夜中の野獣刑事』というものだった。ウーン、どっちも言い得て妙だが、原題(10 To Midnight)からいくと、僅かにテレビ放映版の方が近いって感じか。

その両方のタイトルが示す通り、次々と女を殺しまくる殺人鬼を、ブロンソン扮する刑事が追う、いわばポリス・アクション。いや、アクション度は低いので、ポリス・サスペンスと言った方がいいかも知れない。何故か、人を殺す時には真っ裸になるという犯人は、意外に早々に逮捕されるが、証拠不十分で釈放される。それに怒った正義派のブロンソン刑事は、その犯人の部屋に忍び込み、犯人の衣服に、鑑識からパクった被害者の血痕を付け、あたかも偶然に見付けたかのように、それを証拠品として裁判に持ち込もうとする。その時の犯人の絶叫が面白い。「そんな訳は絶対にない!」(俺は殺すときは裸だから、血痕が付着する事はないんだ!)という心の叫びが聞こえてきて、この展開は面白かった。

しかし結局、自分がした事を部下の若い刑事に見破られ、「そんな事してドーするんですか!」と、逆に諭されてしまうブロンソンが、ちょっと哀れだった。でも、ウソをデッチ上げてでも、犯人を逮捕したいというその考えは、全くもって“デス・ウィッシュ精神”が溢れていたと思い、さすがはブロンソンと、応援したくなっちゃいました。

その後、犯行を重ねる犯人は、遂にブロンソンの娘が住む女子寮を襲う。友達が次々と血祭りにあげられて、必死になって外へ逃げる娘(リサ・アイルバッハーがカワイイ)。それを真っ裸で追う犯人。そして……というのがクライマックスなのだが、それまで一発も撃たなかった(刑事映画なのに!)ブロンソンが、最後の最後で一発ブチかます銃弾の、その復讐の念がこもった重さは、観ている者にヒシヒシと伝わってきました。そして、その瞬間に、この映画の主人公は刑事ではなく、刑事の顔をしたポール・カージーだという事も分かったのでした。

 

★午前3時10分

折り返しの6本目は、前回と同じくJ・リー・トンプソン監督の『地獄で眠れ』(84)。日本では地方先行公開、いわゆるスプラッシュ公開という扱いの不遇な映画。

           

邦題からは分からないが、原題は“The Evil That Men Do”という、かなり意味深なもの。聖書の一部から取られたものらしいが、でも映画の内容は、完全なるブロンソン・タッチ(?)のアクションものに仕上がっていて、これがまた結構面白いと来ているから、やっぱりブロンソン映画はやめられないって感じ。

南米で独裁政権を誇っている某国があり、そこに潜入取材に入った記者が拷問の上に殺される。それが主人公(ブロンソン)の友人だった事から、「復讐して!」と懇願する未亡人の願いを受け入れて、南米へ飛ぶブロンソン……というのがストーリー。

驚いたのは、そのブロンソンの役柄である。何と、“引退した元・殺し屋”なのである。これってもしかして、“デス・ウィッシュ・シリーズ”の後日談か、と思ってしまった。この映画の主人公は、ポール・カージーのその後の姿ではないか、と。実際に主人公は、元・殺し屋のくせに、無料で殺しを引き受けるという展開だから、ますます怪しくなってくるというもの。

ダーツを使ったり、銃を使ったりという、ブロンソンの殺し屋ぶりは相変わらず快調。未亡人とその子供を、自分の妻と子供と偽って潜入する辺り、何となくブロンソン版『刑事ジョン・ブック/目撃者』という雰囲気もあり、アクションとサスペンスが上手くブレンドされた、これは隠れたる傑作だと言えるだろう。ラストのオチも、見事に決まっていました。

 

★午前4時50分

ちょっと眠くなってきたので、7本目はド派手にいきましょう。という事で、シリーズ第3弾『スーパー・マグナム』(85)の登場だ。

           

これまた出来るとは思っていなかった“デス・ウィッシュ・シリーズ”の3作目。監督は相変わらずマイケル・ウィナーが担当。今回は1作目と同じく、またニューヨークが舞台。また転勤したのか? と思ったものの、ブロンソン扮するカージーさんは、友達から連絡を受けて、ニューヨークにやって来たという設定だった。

今回、サブ・タイトルを付けるとしたら、“デス・ウィッシュ3/市街戦篇”という感じで、まさしく、ニューヨークの荒れたダウンタウンを舞台に、主人公、敵(今回はストリート・パンク)、一般市民、そして警察という、4つのグループが入り乱れてのバトルロワイアル! 

登場する武器も、戦争映画並みに凄い。普通の22口径じゃ飽きたらず、ブロンソンが通信販売(!)で購入するのは、ダーティハリー愛用のマグナム44よりさらにデカい口径を誇る、ウィルディ・マグナム(47.5口径らしいです)。この銃の迫力がとにかく凄く、邦題の“スーパー・マグナム”も、多分ここから来ているんだと思う。他にも、マンションの管理人であるマーティン・パルサムが所有していたブローニング30口径マシンガンやら、カージーさんがまたまた通信販売で買うロケットランチャーなどが飛び交い、もう気分はベトナムか真珠湾! って、かなり違いますが…

アクション度としては、おそらくブロンソン映画史上最高なのではないかと思われ、もう60歳を越えていたにも関わらず、この映画でのアクション・スターとしてのブロンソンは、まさに面目役如って感じで惚れ惚れしました。

しかし、1作目の社会派映画的雰囲気からすると、10年も経つと、エラく変わってしまうもんだと、そっちの方にもビックリ。1作目・2作目のガーディニア刑事に次いで、この映画では、悪役顔のエド・ローターが、その顔に反して、ブロンソンに協力する刑事に扮して、イイ味を出していました。

 

★午前6時30分

ここでまたちょっと休憩。お腹が空いたので、朝食にトーストとコーヒーを頂き、体を休める為にちょっと横になった。そのままだと寝てしまうので、目覚まし時計(2つ)のタイマーを20分後に合わせて、取り敢えず仮眠。ウーン、ちょっと失礼……。

 

★午前7時00分

20分だけでも(正確には10分ぐらいだった…)横になったせいか、かなり元気が出てきた。タバコを一服吸って、次に挑戦。8本目は、『トップレディを殺せ』(86)。

                   

元007シリーズの編集マンで、第6作『女王陛下の007』で監督デビューを飾ったピーター・ハントの監督作。ブロンソンがシークレット・サービスに扮し、愛妻ジル・アイアランドが扮する、何とファースト・レディ(大統領夫人ですネ)を守るという、ブロンソン版『ボディガード』。ウーン、遂に大統領夫人の座まで登りつめたか。まぁ、おしどり夫婦だから、イイか〜と、色んな事を考えてしまったのだが、アイアランドが、かなり高慢チキな大統領夫人という設定なのは、ちょっと面白かった。

何故か謎の組織に命を狙われる大統領夫人。それを守るブロンソンというストーリーで、狙われているにも関わらず、色んな所に出掛けるので、危なっかしいたらありゃしない。アイアランドにイチイチ文句を言われながらも、常に傍にいて、優しく見守るブロンソンの姿は、なかなか微笑ましかったです。まぁ、『ボディガード』よりコチラの方が早く作られているので、コッチの方がオリジナルだ! と豪語してもいいと思うのだが、どことなくイーストウッドの『ガントレット』にも、雰囲気が似ていました。やっぱりブロンソンは、イーストウッドを意識しているのか?

因みにこの映画、ワーナーからビデオが出ているのですが、パッケージには“STEREO”と表示されているのに、実際はモノラルだった。一向に再発されないものだから、ずっとそのミス・プリントのまま出回っているのは、ちょっと悲しいです。

それと、これはかなりマニアックな話になるのですが、メイン・タイトルに使用されている音楽が、実はチャック・ノリス主演の『地獄のコマンド』のテーマ曲だった。この映画の為に作られたオリジナル曲(サントラ有り)もあるのだが、そのサントラには、“この曲は映画には使用されていません”という但し書きがしてあり、ウーン、謎だ。同じキャノン映画だから、そういう事も可能だったんだろうけど、何故『地獄のコマンド』(♪ジェイ・チャッタウェイ)なのか、疑問だ。

 

★午前8時40分

さぁ、頑張って9本目。眠気覚ましにバァーッと派手に行こう。シリーズ第4弾『バトルガンM−16』(87)だ。

        

3作目がヒットしたのかどうか、分からないが、またまた作られてしまった第4弾。こうなったらほとんどヤケですネ。監督は、マイケル・ウィナー(イヤになったのか?)からバトンタッチされたJ・リー・トンプソンに変更。この所ブロンソンとコンビが多かった(今のところ9本)トンプソンだが、昔の『ナバロンの要塞』の頃のダイナミックなタッチは陰を潜めたものの、B級に徹したアクション感覚は、老練のブロンソンの個性を上手く活かしているようで、70歳を越えたトンプソン監督も、十分頑張っているように思える。

今回は2作目と同じくロスが舞台。今や建設会社の社長になっちゃってるポール・カージーさん、新しい恋人(イーストウッドの『愛のそよ風』でヒロインを演じたケイ・レンツ)も出来て、毎日ニコニコして生活していて、やっと殺し屋から足が洗えると思った途端、その恋人の娘が麻薬のやり過ぎで死んじゃった事に端を発し、まずは売人を処刑。

それで終わりだと思ったら大間違い。何と、彼の今までの行動(処刑の全ての行動)を熟知している大富豪が登場。俺の言う事を聞かないと、全部バラすゾと、半ば脅迫気味に、ある麻薬組織の殲滅を依頼する。何でも、自分の娘も、以前に麻薬で死んだ為、その復讐がしたいからという、ほとんどカージーさんと同じ境遇なのに感銘を受けたブロンソンは、二つ返事でOK。

それから以後は、麻薬組織対ブロンソンの激しい戦いが描かれ、ここでも拳銃、ロケットランチャー付きM−16(タイトルにもなっている米軍の御用達長銃)、そしてダイナマイトまで、様々な武器を駆使しての戦いぶりが、とにかく派手でスペクタクル。シリーズも4作目となると、もう手が付けられないって感じのエスカレートぶり。

クライマックスにはドンデン返しがあり、ストーリー的にも飽きさせないのだが、最後に恋人が死んじゃうのは残念だナー。そりゃあ確かに、ヒロイン(?)が死んでしまうのは、このシリーズの名物(1作目では妻、2作目では娘、3作目ではジャーナリスト役のデボラ・ラフィン!)なのかも知れないが、ナンか最後に一人去っていくカージーさんが寂しそうでカワイそうだった。

因みに、この日本版ビデオは、ヘラルドからリリースされているが、何故か音声はモノラル(ステレオ表示の上に、モノラルのシールが貼られている!)。オリジナルは“ウルトラ・ステレオ”というドルビーの親戚(バッタもん?)みたいな音声仕様で、ちゃんと輸入LDはステレオになっていたのに、残念だった。そんな訳だから、アクションものはステレオ音声の方が楽しめるという僕の理論から、今回の鑑賞は、輸入LDと日本版ビデオを同時再生しながら、画面は日本版ビデオ(字幕があった方がイイから)、音声は輸入LDというちょっと変則的な見方をやってみた。これやると、ズレた時に合わせるのが大変なんだけど…

 

★午前10時30分

いよいよオーラス。最後にセレクトしたのは、これも結局未公開に終わった『禁じ手』(89)。かなりアブノーマルな、ブロンソンには珍しい、ホントの“珍作”である。

           

これも日本版ビデオはリリースされているが、今回観たのは輸入LD。音声はやっぱり、輸入LDはステレオなのに、日本版はモノラルになっていた。怒ってくれ! ブロンソン!

今回もブロンソンは刑事役。『シンジケート』『殺人鬼』『必殺マグナム』(今回は選外)に続いて4度目だが、(『愛と銃弾』も刑事だったっけ?)かなりもう手慣れたもの。しかし、これがまた、普通の展開じゃないから、これがブロンソン映画? という気分になってくる。

前半は、何故か、アメリカで仕事をしている日本人サラリーマン一家のドラマが展開。何と、旦那が家(日本庭園付きの時代劇に出てきそうな豪邸!)に帰ってきたら、着物を着た奥さんが、何と三つ指ついて、「お帰りなさいませ」って言うのだ。ちょっと時代感覚がズレてしまうこの描写には、開巻早々、ブッたまげてしまった。そして旦那は旦那で、通勤のバスの中で、思わず痴漢行為を働いてしまい、それがブロンソンの娘(ほとんど孫に近いのだが)だったという事で、何とか話は繋がった。(ドラマ展開としてはメチャクチャ)

後は、ブロンソン刑事が、若い娘共を薬中にして売りさばき、暴利を貪っている悪い奴ら相手に戦うのが描かれ、その辺りはルーティーン通りの展開なのだが、ヤクに溺れる若者の様子や、未成年の女子相手のセックスなどの、かなりアブないシーンが続出。一瞬、ブロンソン映画である事を忘れてしまうような、そんな妙ちきりんな映画だった。もしかしてこれはブロンソン版『タイトロープ』か!?

しかし、一番気になったのは、ブロンソンの体調である。劇中、敵にキックをお見舞いするシーンがあるのだが、蹴る瞬間のカットと、蹴られて飛んでいく敵のカットとが、別撮りになっていたようで、もしかすると、蹴るまではブロンソンが演じて、実際に蹴るシーンとかは、スタントマンがやっていたのかナーと、そんな心配をしてしまった。それぐらい、もう動けなかったんだろうかと思うと、何だか悲しくなってしまいました。でも、それでも尚、アクション映画に出演し続けようとするブロンソンの勇姿と情熱は、十分伝わって来たと思いましたデス。

 

★午前12時10分

という事で、今回も全作品が無事、終了しました。久々にブロンソン・ワールドに浸れて、実によかった! 今回のセレクトから漏れた作品(『バラキ』『メカニック』『ストリートファイター』『ブレイクアウト』『セント・アイブス』『軍用列車』『ホワイト・バッファロー』『太陽のエトランゼ』『愛と銃弾』『デス・ハント』『必殺マグナム』等)もまだまだあるので、第2弾の企画も、またやってみたいと思います。

でも、今はとにかく、寝るのが一番。ブロンソンのようなヒーローになる夢を見ながら、心地良い眠りにつきたいと思います。お休みなさ〜い……

 

           

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