これでイイのか!? DVD!

 

第2回『トップガン』

今回、取り上げるのは、1987年度のナンバー1ヒット作『トップガン』(CICビクター発売)です。トム・クルーズの人気を不動のものにした映画であると同時に、プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーのその後の方向性を決定付けた映画としても重要な映画で、まぁ、劇場でも、ビデオでも、或いはテレビでも、誰もが一度は目にした映画ですネ。

誰もが目にしながら、しかし、今になって印象に残っているのは、バックに流れた何曲かの挿入曲ぐらいでしかないのは、これも不思議な映画です。トム・クルーズの角刈り(GIカット?)とか、MTV感覚のドッグファイトとか、そういうのも印象に残っている人もいるでしょうが、今になって思うと、ナンか気の抜けたサイダーみたいな、そんな映画だった印象でしかないのは、もしかしたら僕だけかも知れませんが、そういう事は、今回はあまり関係ありません。

今回は、あくまでも、DVDとしての価値があるのかどうかという観点で、この映画を斬ってみたいと思います。実は、今回入手したこのDVD、例のトム・クルーズ主演の『M:I−2』のDVDキャンペーンの“『M:I−2』を買って、トム・クルーズのDVDをもう一枚ゲット”で、頂いたものであります。実際、僕はこの映画の事をたいして面白いとは思っていなかった(トム・クルーズの映画はみんな、そうかも…!?)のですが、せっかくタダでくれる(実際には送料として400円要りましたが…)というので、他の『ミッション:インポッシブル』と『デイズ・オブ・サンダー』と比較して、これに決めたものでした。

タダで貰っておきながら、文句言うな! という声が、どこからか聞こえてきそうですが、ま、映画の内容に関しては、今回は何も言いません。とにかくこのDVDに、文句を言いたいのです。

率直に言いましょう。“このDVDには、本編だけしか収録されていない”というのがテーマです。本編だけしか収録されていないDVDというのは、他にもいくらでも存在しますが、しかしこの映画の場合、以前、LDでリリースされていた時に、本編のみの通常盤に加えて、CAV・2枚組によるスペシャル・コレクション盤がリリース(1989年11月)されていた筈で、その時に収録されていた特典映像が、存在しているにも関わらず、今回のこのDVD版には、その時の特典映像はおろか、オリジナル予告編さえも収録されていないという有様で、これは一体どういう訳? と、思ってしまったのでした。

そのスペシャル・コレクション盤LDには、@ビリー・ウェバー(って誰?)への撮影秘話インタビュー、Aアメリカ・ジェット戦闘機の歴史を辿るジェットファイター静止画集、Bスタンダード(オリジナル版)、シネマスコープ(劇場公開版)のスクリーン・サイズ比較…などの映像特典の他に、F−14のディスプレイ図解や、コックピット内部の平面図、そしてチャプター対応によるドッグファイトの飛行軌跡…などの徹底解説書が封入されていた模様です。

資料によりますと、映像特典の合計時間は、せいぜい8分ぐらい(静止画は除く)で、スペシャル・コレクションと銘打たれている割りには、そんなにスペシャルな感じはしませんが、しかし、全編がCAVで収録されているという点が、当時としては、スペシャルだった訳で、“トップガン・マニア”(いるのでしょうか?)の人には、堪えられないLDだった事は事実でしょう。

にも関わらず、現在リリースされているこのDVDには、何の特典映像も収録されていないというのは、一体どういう訳なのか? 予告編すらも無いっていうのは、何かこう、胡散臭さみたいなものを感じるのですが…。

というのも、今回、タダで貰ったこのDVDのジャケットを眺めていたら、裏面の方の表記が、市販されているものとは、一部違う箇所があるのを発見したからです。

 

ちょうど、下部の、DVDの仕様に関する表記が、販売店などで市販されているものと、違っている訳で、別に、仕様が変わっている訳ではないのに、これも一体何故なのか、よく分かりません。よ〜く、見てみると、品番自体も、このタダの贈答品と、市販品とでは、ちょっと違うような気も…。

しかし、これだけの事であれば、別に、市販用とプレゼント用の2種類があるだけだと思ってしまう訳で、何等支障はないように思いますが、ちょっと気になる事が一つ。というのも、今回、“もう一枚ゲット”のキャンペーンの対象になっていた3本のトム・クルーズ映画は、いずれもみんな、特典映像などが収録されていない本編のみ(一部、予告編が収録されている作品はあったような)のDVDばかりで、その3枚がキャンペーンの対象になっているというのが、どうも引っ掛かる訳です。

そこで、推測。これは他のメーカーでもチョクチョクある事なのですが、最初にリリースした本編のみ収録の通常版の後に、しばらく経ってから、特典映像が収録されたいわゆる“特別版”がリリースされるのではないか、という事が考えられる訳です。即ち、この『トップガン』を始め、『ミッション:インポッシブル』も『デイズ・オブ・サンダー』も、現在出回っているのは本編のみの通常版で、後々に、特典映像が収録された特別版をリリースしようと計画されているのではないでしょうか。で、その通常版の在庫をちょっとでも減らす為に、今回のキャンペーンが行われたと、そういう事だったのではないか、と…。

考えられなくもないですネ。他の2作品に関しては分かりませんが、この『トップガン』については、明らかに、以前のLDの時に、特典映像が存在していた訳ですから、なのにこのDVDには収録されていない所をみると、今後、“特別版”という形で新装リリースされる可能性があるのではないかと考えられる訳で、結局このタダでくれたDVDは、単なる在庫減らしの片棒をカツがされただけだったという事になる訳ですネ。

しかし、ハッキリ言いますが、せっかくDVDとしてリリースされている以上、より完璧な状態でリリースして欲しいもので、やれ特別版やら、やれコレクターズ版やら、やれデラックス版やらという具合に、後々になって、次々とバージョン違いでリリースされるのは、もうLDの時で懲り懲りです。だからこそ、DVDでは、最初にリリースされた時から、完璧なものを出して欲しいと思うもので、なのにそれが、今回の『トップガン』のような状態では、本当に困ってしまいます。これを、タダで貰った僕でさえ、何か腑に落ちないと思ってしまうぐらいだから、実際にお金を出してこのDVDを買った人からすれば、もっと不満に思うのは当然だと思う次第です。

結局、今回のこの“DVDキャンペーン”、さっきも述べたように、後々に特別版を出す為の、通常版の在庫減らし、というのが、どうやら正解のようで、マンマとCICビクターの術中にハマってしまったという事なんでしょう。いや、これはあくまでも僕の推測で、「今後、特別版を出す予定は無い」と、CICが仰るのであれば、僕の思い過ごしだと、お詫びしたいと思っているのですが、果たして真相はどうなのでしょうか?

もし、『トップガン/特別版』(スペコレ版LD時の特典に加えて、トム・クルーズへのインタビュー、トニー・スコット監督の音声解説、メイキング、オリジナル予告編、テーマ曲のミュージック・クリップ…等の映像特典収録!)がリリースされた暁には、今回のこのDVDを持って、CICビクター本社に乗り込んで、「金返せ!」と叫んでやるつもりです。例え、タダで貰ったとしても…。

 

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