映画館事件簿

 

  ★1978年5月28日(日) 大毎地下劇場で起こった閉幕事件!

 

 

 チャップリンの名作『モダン・タイムス』を観ていた時の事。ほとんどもう終わり近く、バックに名曲「スマイル」が流れて、さぁこれから、涙なくしては見られない感動のラスト・シーンが展開されるという、まさにその時に事件は起こった。

 まだ映画は終わっていないのに、何といきなり幕が下りてきて、そのままスクリーンが見えなくなってしまったのだ。おまけに場内の照明も点いて明るくなり、もう完全に映画が終わったのと同じ状態になり、せっかくの名作のラスト・シーンが台無し。感動もへったくれもなくなってしまった。

 おそらく、何等かの映画館側のミスで、まだ映画が終わっていないのに、幕を下ろして照明が点いてしまった(閉幕するのと照明が点くのは自動でセットされていたのだと思う)という事なのだが、幕自体が薄い生地で出来ていたので、ユラユラと揺れるその幕の向こうで、ウッスラとチャップリンとポーレット・ゴダードの二人が、「これから頑張って生きていこう」と、手をつないで歩いていくラスト・シーンが映っていて、思わず失笑。笑っている場合ではないのだが、ただの観客としてはドーする訳にもいかず、何とも気分の悪い、そして後味の悪いエンディングになってしまった。

 しかし問題なのは、上映終了後に、何のお詫びの場内アナウンスもなかった事で、そりゃあちょっとおかしいんじゃないでしょうか。明らかに劇場側のミスなんだから、観客に一言あってしかるべきだ。しょうむない映画ならまだしも、チャップリンの名作でっせ。もしチャップリンが生きていたら、「そんな映画館で上映するな!」と怒っていたに違いない。

 

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