蜂が束になって人間を襲う昆虫パニック映画『スウォーム』を観ていた時にその事件は起こった。

　パニック映画の大御所、アーウィン・アレン監督の『タワーリング インフェルノ』に続く映画だという事で、とにかく場内は超満員。それは別にイイんだけど、困ったのは、僕の隣に座っていたカップルである。とにかくこれがイチャイチャするのなんのって。今だったらさしずめ「こんなとこで何しとんネン！」と大声の一つでも出している所だろうが、当時はまだ思春期の真っ直中だった僕にとって、それはそれはもう何とも刺激の強い光景でありまして、もう映画なんかそっちのけで、ついついソッチばかり気にしていて、映画に集中する事が出来なかったっけ。

　イヤ、別に覗いていた訳ではありません。何せ隣でチュッチュ、チュッチュするもんだから、ついつい気になってしまっただけの事でして、だから決して覗いたり眺めたりしていた訳ではありません。

　しかしあのカップル、一体何しに、わざわざ映画館まで来ていたんでしょうか。他の場所でやればいいものを、神聖なる映画館でアンな事をするだなんて、マッタクもって映画に対する冒涜だー！　お陰で映画が、全然面白くなかったじゃないか。責任取れー！

　と思っていたのだが、後にもう一度観る機会があり、「ようし今度こそ」と観直してみたら、やっぱりしょうむない映画でした。だからあのバカップルに罪はありませんでした。