映画館事件簿

 

 ★1979年9月23日(日) 大劇名画座で起こった救急車事件!

 

         

 

 今は亡き、当時は2本立や3本立の映画を低料金で見せてくれていた名画座での事。この日のプログラムは、イーストウッドの名作西部劇『アウトロー』と、ミスター・ウェスタン、ジョン・ウェインの遺作『ラストシューティスト、そしてポルノ映画で、一応西部劇仕立てになっている『荒野のSEXハンター』という、いわば西部劇特集でした。

 で、事件が起こったのは、3本目の『ラストシューティスト』を観ていた時だった。僕の斜め前に座っていた男の人が、いきなり痙攣を起こし、バタっと倒れてしまったのである。何事かと思い、暫く様子を窺っていたら、その隣の人が介抱していたようなのだが、やっぱりヤバイと思ったのか、すぐに映画館の係の人に連絡。数分後にピーポー・ピーポーというお馴染みの音が聞こえてきた。そう、救急車の到着である。

 映画の上映中にも関わらず、担架を持って登場した救急隊員、倒れた患者の人に声をかけていたようなのだが、どうやらもう大丈夫になったみたいで、救急車に乗るのを断ったらしい事が判明。結局救急隊員は、カラの担架を持ってそのまま退散という事になった。

 それらの出来事をズッと眺めていた僕は、せっかくのジョン・ウェインの遺作を中途半端な形でしか楽しむ事が出来なかったのだが、もしかしてあの人、その前に上映されたポルノ映画を観て興奮してしまった為、ああいう様な事になったのだろうか。

 ナンて考えてしまったのだが、しかし、ここで敢えて言っておくと、その映画、ポルノとは名ばかりの、メチャクチャしょうむない映画だったのだ。そもそも映画として成立しておらず、例えばポルノ映画なのにエッチなシーンは一切ナシ(そんなアホな!)だし、ストーリーは全然分からないし(というか、訳の分からない西部劇もどきの映画のシーンを寄せ集めたみたい)、それにほとんど静止映像ばかりで、それも実写ではなく、単なる絵ばっかりという、マッタクもって詐欺みたいな映画だったもので、あんなものを観て興奮するとは思えなかったんですけど。

 で、この事を家に帰って親に話したら、「お前、またヘンな映画観に行ってんやろ!」と、逆にコッチがツッ込まれてしまった。「違うよ、イーストウッドとジョン・ウェインの西部劇を観に行ったんや!」と反論するも、白い眼で見られてしまったっけ。しかし劇場は、どうしてそんな組合せで上映したのだろうか。『アウトロー』と『ラストシューティスト』だけで十分なのに。

 ま、取り敢えず、体調が悪い時には、映画館(特にエッチなヤツ)へ行かないようにしましょうネ、みんな。

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