映画館事件簿

 

★1980年2月17日(日) 花月シネマで起こったゾンビ事件!

 

 当時、今は亡きなんば花月の横にあった名画座(その前は蝋人形館だった!)で、ご存知名作ホラー『ゾンビ』を観ていた時に事件は起こった。

 スクリーンでは、ゾンビ対人間との凄まじい戦いが繰り広げられているその最中、そのスクリーンの前をゆっくり、本当にゆっくりと歩きながら横切ろうとする、一人の人間の姿があった。

 その劇場は、舞台があってスクリーンがあるという形ではなく、当時では珍しかった、壁にスクリーンがペタっと貼り付けてあるだけの、まるで試写室のようなタイプの映画館(現在のミニシアター系に多い)で、だからスクリーンの前を横切ろうとしたら、当然観ている観客の目に触れてしまう訳だ。しかしその歩いている人間が問題。さっきも言ったように、もしかして死んでいるんではないかと思えるような、ゆっくりとした歩き方で歩いているその姿は、まさにゾンビそのもの! 

 ハッキリ言って、その時観ていた映画とあまりにマッチしたその光景に、場内は騒然。ゾンビが、本物のゾンビが現れた! と、みんなガヤガヤ騒いでいたのだが、よーく見てみたら、ただの年老いた男の人(ようするにジジィ)だった。左手のドアから入って来て、スクリーンを横切って席に座ろうとした、ただそれだけの事だったのだが、あの歩き方と、無表情なシワクチャの顔は、ハッキリ言って恐すぎ。誰だってゾンビだと思っちゃいますよ。

 アレから20年経っているので、多分今頃、本当の死人になっちゃっているでしょうけど、それで生き返ったら今度こそ本物のゾンビになれるのにナー。

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