映画館事件簿

 

 ★1980年4月5日(土) SABホールで起こった巻違い事件!

 

 『宇宙怪獣ガメラ』を観ていた時の事。ガメラの新作とは名ばかりで、実際は、僕が子供の頃に観ていたガメラ・シリーズ計7本のハイライト・シーンと、マッハ文朱らの出ている新しく撮ったシーンとを繋ぎ合わせた、いわゆる総集編みたいな一編だった。

 で、事件は起こった。観ている途中で、どうもストーリーがよく分からなくなったのだ。しかも、登場人物の一人が、みんなから「死んだ」「死んだ」と言われていて、一体何がどうなったんだろうと思っていたら、その後、本当にその人物が死ぬシーンがやってきて、やっとこさ話が繋がった。何でそんな回りくどいストーリーになっているんだろうと、普通の人は思うだろうが、僕は見逃しませんでした。

 勘の鋭い人ならもう既に分かっていると思うけど、ようするに、巻の順番を間違って上映してしまったと、そういう事だったのである。映画の上映フィルムは、大体が20分くらいが一巻となって映写機にかけられ、当然ながら20分おきに巻が替えられる。だから通常どの映画館でも、最低2台の映写機で上映している筈だ。1時間半の映画だと、およ5巻ぐらいで上映される事になり、当然それぞれ順番通りに映写して、初めて完璧な上映となるのだが、この時、恐らく、途中の巻の順番を間違えて上映してしまったんだと思われる。だから登場人物が、死んだり生き返ったりしていた訳だ。

 実はこの映画、元々梅田にあったポルノ系映画館で公開されていたが、たったの1週間で上映が打ち切られ、しかし、何故か看板が据え付けられたまま他の映画(ポルノだったと思う)に替わっていたという有様で、いざそこへ観に行って(看板がそのままだから)ビックリした事があった。「せっかく前売券を買っていた(買うなヨ!)のに、もう終わってるやなんて、殺生だっせ。しかも看板はそのまんまやんけ!」と、僕を含む何人かのファンが、劇場の係のオッサンに迫った為、こうしてこの日だけ特別にホールで上映されたという事だった(実際は、そういう声が多かったから、だが)訳だが、しかしその時に限って巻が間違って上映されるとは。よっぽど僕はこの映画と相性が悪かったという事になるが、映画自体が全然面白くなかったのが、一番の問題。ちゃんと順番通りに上映されていても、多分面白くなかったでしょう。

 

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