映画館事件簿

 

 ★1991年4月11日(土) ホクテンザ2で起こった変質者事件!

      

 

 超能力ホラー『スキャナーズ3』と、ナマクラな犯罪コメディ『ドリーム・マシーン』の2本立を観ていた時の事。本当なら『スキャナーズ3』を観た後、『ドリーム・マシーン』を観て、それで終わりなのだが、この日のこの映画館、何故か上映時間が微妙に狂っていて、時間表通りに劇場へ駆け付けたら、既にもう映画は始まっていたのだった。よって、『スキャナーズ3』の冒頭の数分だけを観逃してしまっていた為、もう一度そこだけを観よう(本当はそんな見方、よくないのだが)と思い、待っていた休憩時間に、その事件は起こった。

 スクリーンに向かって左側のドアから、一人の男が入ってきた。頭は丸刈りで、上下のジャージを着ていて、ナンか、いかにも病院のベッドから抜け出して来ましたみたいな、そんな感じの人で、パッと見の顔も、どこかこう、病人気味で、大丈夫かなって感じの、大体20歳代中頃ぐらいの人で、何となく歩き方もおぼつかないようだった。

 その人が、そのまま席についていれば別に問題なかったんだけど、それが、まるでフラフラとした歩き方で、僕の座っている方にやってくるものだから、一瞬ドキっとした。大きな映画館じゃない為、席は100人そこそこなので、イヤでも傍に座られる可能性がある。イヤ、別にイイんだけど、やっぱりちょっと気持ち悪いですよネ。すると突然、僕の前で立ち止まり、何故か右手の拳を振り上げ、ナンか、プルプル震えながらジーっと僕の方を睨み付けている。

 ハッキリ言って恐かった。ナンせ見た目から普通の人じゃないもんで、しかも何も言わずただ、「ウー、ウー」と唸っているだけ。多分、どこか頭のおかしい人だったんじゃないかと思うが、そんな状態でコッチが平気でいられる訳がなく、思わずスクっと立ち上がり、取り敢えず退散。もしかして僕の座っていた席に座りたかったのかナーと、一応席を譲ったつもりでいたのだが、しかし一向にその席に座る様子もなく、今度はその後ろの席の人にも同じ様な事をやっていた。

 その光景を、取り敢えず、一番後ろの通路に回って立って見ていたのだが、アレは多分、単なる病気の人だったんだろう。すると今度は、そこへ見知らぬオッサンがやってきて、その病気の人に向かって、「コラ! お前、病院を抜け出してきたんか。こんなトコに来とったらアカンやろ。ハヨー病院に戻れ!」と大声で言い始めたので、やっぱりそうだったんだろう。

 変質者までもいかないまでも、やっぱりちょっと恐いですヨ、こんな人。映画を観たかったのか、それとも本人も訳が分からなかったのか、何故抜け出して来たのかよく分かりませんが、こういう人を平気で入れてしまう映画館側にも問題があると思いますネー。深夜だったし、入口でモギリ(切符を切る人です)をやっていたのもアルバイトの学生みたいだったので、そこまで言うのは酷ですが、もしこれが本当の変質者で、観客全員皆殺し、なんて事態になっていたら、一体ドーするつもりだったんでしょうか。お陰で『スキャナーズ3』よりも恐い体験をさせて貰いました。

 

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