華麗なる復讐

Escape From Death Row

メーカー アメリカ・Brentwood
画面サイズ 1.5.:1(LB)
音声 モノラル(英語)
字幕 なし
ランタイム 76分37秒
リージョン ALL

ジャケット裏

リー・ヴァン・クリーフ主演、ミケーレ・ルーポ監督のイタリア製ギャング・アクション映画の隠れたる傑作。ワタシが31年前に劇場で観た時、そのあまりにもの面白さに仰天し、以来、ワタシの隠し球の1本になっていた作品で、最近、アメリカでDVDになっているのを知って、速効でゲットしたものであります。

ストーリーは単純明快。イタリア暗黒街のボス(=ギャングスター)であるリー・ヴァン・クリーフが、敵対する新興勢力の組織の横暴に堪り兼ねて、重要人物を暗殺。完璧なアリバイ(刑務所収監中!)で完全犯罪に思えた計画が、ある者の裏切りで発覚。裏取引無しに刑務所に送られてしまっている間、クリーフの仲間が次々に殺されて組織が壊滅状態に追い込まれた時、クリーフを慕うチンピラ(クリーフに付き纏っていた為、一緒に入獄させられてしまっていた)の機転で刑務所を脱走、怒りに燃えるクリーフとチンピラ(トニー・ロー・ビアンコ好演!)のコンビで、汚い組織に殴り込みをかけ粉砕してしまうというお話。常にクールなクリーフと軽口を叩くチンピラとの対比が見事で、アクション有り、サスペンス有り、銃撃戦有り、そしてカー・チェイス有りと、B級アクションの王道を行くマカロニ活劇なのですが、初めて観て以来31年ぶりで再会しましたが、その相変わらずの面白さに堪能させて頂きました。

ただし、観る前は不安で不安でしょうがなかったです。というのもこのDVD、ジャケットの出演者にクリーフの名前はあるものの、共演のトニー・ロー・ビアンコの名前は一切見当たらないという始末で、届いて早速ジャケットを眺めた際、「もしかして、違う映画だったのか…」と、もう恐い事恐いこと。この金の無い時期に、間違ったDVDなんか買っている余裕なんて無い所でして、ディスクをプレーヤーに入れて再生が始まるまで、もうハラハラ・ドキドキでしたね。

で、再生が始まってメイン・タイトルが始まっても、ジャケットと同様にトニー・ロー・ビアンコの名前がクレジットされておらず、おまけに監督の名前もミケーレ・ルーポではない! やっぱり違う映画だったのか…と落胆する事しきりで、暫くボ〜っと画面を見つめていたら、何処となく見た事のある場面が出てきて、多少カットされている部分はあったようですが、これは紛れも無く、ワタシの求めていた『華麗なる復讐』である事が判明。一件落着したのでありました。

多分、イタリア製の無名のB級映画だという事で、アメリカではタイトルも変えられ(日本公開時の原題は“Gangstar Story”)、出演者やスタッフの名前も英語読み(?)に変更されて公開されたりテレビ放映されたりしていたんでしょうな。なので、クリーフ以外のクレジットは全て差し替えられていた訳で、作品自体も、イタリア製である事が隠されていたという事だったんだろうと思われます。しかし、監督やスタッフはともかく、トニー・ロー・ビアンコは『フレンチ・コネクション』や『ザ・セブン・アップス』に出ていた人だから、別にそのままの名前でもイイと思うのですが、一体どうしてなんでしょうね。DVDのジャケに書かれている“ジェームズ・レーン”というのがビアンコの事なんじゃないかと思うのですが、よく分かりませんデス。

という事で、このDVDの仕様ですが、これがもう酷いもんです。マスターは全然マスタリングとかされておらず、おそらく(ランタイムから見て)、テレビ放映用の素材が元になっているんでしょうな。フィルム傷が随所に出てきて、その為に途中で音声が途切れる事が何箇所もあるという、まるで70年代、場末の名画座で観た雨降りフィルムのような感じで、それが却ってレトロな雰囲気を盛り上げているというか、懐かしい気分になれましたです。でもまぁ、傷は多いけど、画質自体は、普通に見られる程度なので、安心しましたが。当然、音はモノラルですな。

また、画面サイズは、オープニング・クレジットはスクイーズのビスタ・サイズになっていて、一瞬喜んだりしたんですが、タイトルが終わると、思いっきりトリミングされたスタンダード・サイズに変わるという、完全なテレビ放映仕様。でも、若干上下に黒味があるので、約1.5:1の東宝ビスタみたいな画角になっておりましたデス。ハハハ。

あと、ランタイムが約77分と、完全に1時間半枠用に短縮されたカット版になっておりまして、オリジナルからおよそ20分カットされている計算になる訳ですが、それでもアクション・シーンの見せ場はほとんど入っていて、まぁナンていうか、削られたのはドラマ的な会話のシーンばかりのようですが、ひとつだけ、ビアンコが自分の部屋にクリーフのポスターを貼っていて、女と喧嘩した際、女が投げたリンゴがポスターに命中してグチャグチャになって、ビアンコが怒りまくるという笑えるシーンがカットされていたのは残念です。

という事で、特典も何も無い味も素っ気もない寂しい仕様のDVDですが、本編がそれを補って余りある面白さになっていますので、一度観てやろうというお方には是非お薦めの一編であります。

※日本未発売盤

 

 

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