『サンゲリア』の思い出
まず、最初に我々の目に触れたのは、この1枚のチラシでした。これだけだと、何の映画か分かりませんが、劇場でやっていた予告編を観ても、サッパリ分かりませんでした。 まぁ、東宝東和が送るショック・ホラー映画というと、『サスペリア』を思い出してしまうもので、取り敢えずは、その系統のオカルト映画かナと想像していました。 因みに、このチラシ(ポスター等も…)の真ん中にコラージュされている女の人は、『サスペリア』に出ていた女優さんで、この写真も『サスペリア』のものです。よって、この映画には一切登場しません。さすがは東和! |
続いてコチラは、前売り券。取り敢えず、“恐いモノ見たさ”で、観に行こうとしていました。 因みに、先程のチラシの時のキャッチコピーは「心臓一撃! 今80年代最大のショックが襲いかかる!」となっていましが、コチラの方は、「今年いちばん、ドキーンとする映画です」になっています。 “80年代最大”と“今年いちばん”、東和もかなり自信を持っていたようです。 |
これは、『サンゲリア』とは関係ありませんが、同時期に劇場公開されていたショック・ドキュメンタリー映画『ジャンク/死と惨劇』の前売り券。 当時の映画館は、死体だらけだったという事ですネ。 2本ハシゴで観た日の帰りは、絶対に焼き肉は、食べられなかったと思います…。 |
何でも、東京の方では、ペアチケットも発行されていたとか。 こんな映画、一体誰とペアで観に行こうとしているのか…。 彼女と行けば、イヤがられそうだし、「私観たい!」っていう、そんな趣味の女とは、ちょっと遠慮したいし…。 結局、一人で2回、観に行ったりして…。 |
これはお馴染み、劇場用パンフレット。 原題も大きく“SANGUELIA”と表示。 イタリア語らしく作ったつもりのようですが、当時、英和辞典で調べても、当然、載っていませんでした。ただ、“Sangue〜”という言葉は、いくつか載っていたようで、“血の〜何とかカンとか…”という意味合いだったみたいで、何となく合っているような…。 しかし、パンフレットの中身読んでも、これがゾンビ映画だとは、一言も書かれていないのが、ある意味スゴイと思いました。出てくるゾンビも、“サング”だし…(笑)。 |
そのパンフレットに載っている“『サンゲリア』観賞中にショック死した時にお墓を建てます”という内容の「メモリアル・セミテル保証」(?)のお知らせ。 場所はハワイのオアフ島のミリラニ・メモリアルパーク内だとの事。誰も死ななかったので、確保された用地がどうなったのか不明ですが、早々に売却されたものだと思われます。 でも、どうせお墓を建てるなら、ハワイじゃなくて、アンチル列島の孤島・マツール島にして貰った方が、ファンは喜ぶんじゃないでしょうか。当然、土葬で。 |
|
そのパンフレットの中で、この2枚のスチルのみ、ゾンビが登場しているものでした(しかも部分的…)。他のスチルには、全く登場していません。ゾンビ映画なのに…。 そこまでして、ゾンビ映画である事を、ひた隠しにしようとしていた訳ですね、東和は。映画を観れば、すぐに分かるというのに…。 |
|
それと、この映画の人気の秘密は、このような、さりげないセクシー・ショットがあるからだと思うのですが…。 出てくる女優(メナード夫人、スーザン、看護婦、ティサ・ファロー)が、みんなイイ女だったというのも、この映画の人気の要因だと思います。(と、思っているのは、僕だけでしょうか…!?) |
劇場公開当時に発売されていたサントラ盤。日本では、シングル盤しかリリースされていなかったようです。 A面にしっかりと、「サンゲリアのテーマ」“Theme From Sanguelia”と表記されているのには、“東和イズム”を感じます。 因みにB面の曲は、「地獄への旅立ち」。主人公たちがマツールに行く為に立ち寄った、町のシーンのバックに流れる、割りと明るめの曲。 |
|
こちらは、現在リリースされているサントラCD(輸入盤)。 何とウンベルト・レンツィ監督の『人喰族』とのカップリング。まさに、“人喰い=カニバリズム”CDですネ。 |
当時のアメリカのホラー雑誌「FANGORIA」の第8号でも特集された『サンゲリア』(発行は1980年10月)。 これだけ堂々とミミズ・ゾンビの顔がアップになっているのは、当時としては新鮮でした。我が国の東宝東和と違い、「これはゾンビ映画です」と宣言しているようなものですネ。 アメリカでの公開タイトルは“Zombie”だったので、ロメロの『ゾンビ』と混同する人が多かったようですが、原題でしっかり区別出来るのは、マニアである証拠だったようです!? |
|
||
これは、その「ファンゴリア」の目次ページですが、紹介には何故か、“イタリアの監督ダリオ・フルチ”って書かれているんですけど…。それって誰…? アメリカ人には、ダリオ・アルジェントとルチオ・フルチの区別も付かないんでしょうか…? まぁ、未だにブルース・リーを、日本人だと思っている国民だから、それもしょうがないのかも…。 でも、本当に変名でいそうだナ〜、ダリオ・フルチ監督…。案外、響きがイイかも…!? |
で、その中の記事を書いているのが誰かと思うと、これが意外にも、後に『怪人スワンプシング』や『ジュラシック・アマゾネス』を作るバカ監督・ジム・ウィノースキーだったりします。「ファンゴリア」での仕事ぶりが認められて監督になったのかも知れませんが、認められなかった方がよかったかも…!? |
載っていたスチルの中で、面白いモノを発見。 『サンゲリア』の冒頭シーンに登場する“船上ゾンビ”さんが、撮影の合間に休憩している珍しいスナップ写真です。 タバコを吸って休憩中らしいです…。 それに、グラサンかけているけど、ゾンビも眩しいのでしょうか? |
こちらは、“ジャングル・ゾンビ”(?)のお一人さん。暴れ過ぎてメイクが落ちたので、メーキャップ・アーティスト(ジャネット・デ・ロッシ?)にお化粧直しされています。 やっぱり、ゾンビ・メイクのせいで、飲み物もストローでしか飲めないようです。 |
これは、待ちに待った、世界初(?)の『サンゲリア』のビデオ・ソフト。当然輸入版(アメリカ版)なので、字幕スーパーはありません。当時はまだ健在だった、輸入ビデオ・ショップ“ビデオパル”で購入したもの。因みに、18,800円でした。 「これ下さい」って言ったら、店長さんが、「これは『ゾンビ』ではなく、『サンゲリア』ですヨ」と教えてくれましたが、そんなもの、マニアは常識ですよね。当時はまだ、『ゾンビ』のビデオはリリースされていませんでした。 しかしこのビデオ、リリース元が悪名高いウィザード・ビデオだったので、ハッキリ言って画質は超悪かったです。画面サイズは勿論、スタンダードのトリミング版だし、観ていてツライものがありました…。でも当時は、これ以外にこの映画を観るすべが無かったので、我慢して観ていました。 ただ、これを観て驚いたのは、観た事のないシーン(カット)が、4つ程あった事でしょうか。そう、日本公開版(東宝東和版)は、カットされていたという事実を、その時初めて知ったのでした。 そういう意味では、18,800円も払った甲斐があったというもの。しかし、あのボケボケの画質は、何とかならなかったものなのか…。このメーカーの『悪魔のいけにえ』も、相当ヒドかったらしいですが、僕はLDだったので、そんなに悪いとは思いませんでしたが…。
|
で、コチラが、日本で初めてリリースされた完全ノートリミング版LD。その前に東芝からリリースされていたビデオは、東和版を元にしたものだったので、残酷シーンに青フィルターがかかったり、カットされたりしていた不完全バージョンでしたが、このソニー版LDで、やっと日本のファンも、完全な形で『サンゲリア』を観る事が出来た訳です。 マニアックにも、英語版とイタリア語版の2バージョン収録で、確か、日本版でのカットシーンがどの部分なのかを詳しく解説したマニュアルも付いていた(持っていないので分かりません…)、まさしくマニアック版でした。予告編は勿論の事、35ミリの予告編フィルムクリップまで付いた完全限定盤(1000セット)2枚組LDという豪華仕様で、内容も豪華なら、値段も18,800円と、たいそう豪華でした。 でも、そんな値段を出せる訳が無く、当時は違法だった、LDレンタルを利用して、先程の輸入ビデオの上から、重ねてダビングした事がありましたが、当時のソニーは、今の○宝みたいに、ボッタクリ・メーカーと、言われていましたっけ。(他の映画も高かった!)
|
日本ではその後、ソニーから1枚もので、廉価版LDが出ましたが、廉価版といいながら、1万円もしていたので、手が出ませんでした。 これは、その際に同時にリリースされた廉価版テープですが、確かこれも、1万円ぐらいしていたような…。 ソニーは、“廉価版”の意味を、分かっていないのではないかと、心配してしまいました。 |
また、アメリカでも当時、ワイド版LDが出ていましたが、その後しばらくして、リマスターによるワイド版で出たのがこの“ROAN GROUP”版LD。音もデジタル・ステレオになり、予告編以外にもテレビ&ラジオ・スポットの画像&音声や、アナログ・トラックには、主演のイアン・マカロックと、「ディアボロック・マガジン」の編集者ジェイソン・J・スレイターのコメンタリー(音声解説)が収録されている、まさにコレクターズ仕様。これを中古で1800円(!)で入手した時は、ホント、涙が出ました。(0の数を何度も確認しました…) 尤も、その時は既にアメリカでDVDもリリースされていたので、それを買った人が中古で手放したのかも知れませんが、僕としてはラッキーでした。 |
で、そのアメリカ版DVDがこれ。結構持っている人、いるんでしょうネ〜。因みに僕は、持っていません。未だに上のLDで我慢しています。 特典などの仕様は、LDとほぼ同じで、例の音声解説も収録されているようです。それに音声が5.1chのドルビー・デジタルというのも、魅力ですネ。 因みに、リージョンはALL。マニアなら、当然、“買い”ですよネ。 |
でも、LDプレーヤーは潰れた。DVDプレーヤーは持っていない、という人には、コチラのVHSビデオをお勧めします。 勿論、スコープ・サイズのワイド版で、初期のウイザード・ビデオ版とは、比べモノにならないぐらい、素晴らしい画質で楽しめます。音声もDVDやLD同様、ステレオなので、迫力もバッチリですネ。 輸入版だから字幕がないのが心配、ナンて悩んでいる場合ではないです。マニアなら、“『サンゲリア』に字幕なんて要らない!”と、声高に叫びましょう。 どうせ、スプラッター・シーンしか観ないんだから(そんな事はないか…)。 |
で、そんな心配している人には、この日本版DVDをお勧め…と言いたいところですが、色々問題はあるようです。 僕は所有していないので、ハッキリした事は言えませんが、まず気になったのは、音声がモノラルである事。輸入版はみんなステレオなのに、何故かこの日本版はモノラルなんですネ。 それから、予告編以外、特典が何も付いていない事。音声解説どころか、テレビ&ラジオ・スポットも付いていないというのは、どういう訳…? おそらく、アメリカ版とは、マスターが違うんだと思われますが、それが証拠に、画質もイマイチ、良くないそうです。 因みに発売元は、東芝でもなく、ソニーでなく、JVD。他にもフルチ監督の『地獄の門』(コチラはステレオ音声になっているようですが…)もリリースしてくれているメーカーですが、この仕様は、一体どういう事なのでしょうか…? ダチョウ倶楽部ではありませんが、「訴えてやる!」って、誰かが言い出すのを待っています!? で、そんな折り、来年(2002年)に、この『サンゲリア』のDVDが、もっと特典満載で、新装リリースされるというニュースが走りました。まだ、詳しい内容は不明ですが、その時は、是非とも、日本版も、全く同じ仕様でリリースして欲しいものだと思います。 |
※なお、『サンゲリア』の各国のビデオ及びDVDのジャケットは、kazさんのサイトの『サンゲリア』のページに詳しくアップされているので、マニアの方は、是非訪れて下さい!
で、そんな現在、輸入DVDと共に、我々マニアの溜飲を下げてくれているのが、このCD付きコミックだそうです。 マンハッタン・ベイビーさま、情報ありがとうございました! |
|
|
いゃあ、是非とも、読んでみたいコミックですネ〜。この4コマだけ見ても、随所に『サンゲリア』テイストが感じられて、燃えてきますネ。これだけを単品で発売してくれるのもイイですが、やはり、日本版DVDに付録として付けて欲しいと思います! それから、サントラCDの曲目は、以下のようです。 |
1
The boat can leave now 2 Zombie 3 Eyeball 4 Escape from the flesheaters 5 Leaving hell (the cab ride) 6 Menard's Duty 7 Matool 8 Ann and Peter 9 Voodoo rising 10 Matool (version two) 11 Escape from the flesheaters (version two) 12 Maggots/voodoo rising 13 Escape from the flesheaters (remix version) 14 Matool (remix) (情報提供:マンハッタン・ベイビーさまfromサンゲリアンズ) |
このサントラCD付きのコミックが付録になった、特典満載のDVDがリリースされたら、もう何も言う事はないですね。もう死んでもイイ…!? とにかく、日本での発売を待ちたいと思います。
しかし、もし、リリースされなかったら…?
その時には、このような運命が待ち受けているといっても、過言ではないでしょう。
って、誰に…?
【追記】
「ファンゴリア」の表紙と、アメリカ版LDのみ、ミミズ・ゾンビの顔が裏焼きになっています。 正解は、その他のジャケットにあるように、“右目にミミズが付着している”ものです。(左の写真参照) 顔の向きも、若干逆になっているので、マニアならすぐに分かりますよネ。 |
最後に
データ・ファイル
イタリア★ヴァラエティ・フィルム1979年度作品
原題
Zombi 2 (イタリア公開タイトル)
The Island of the Living Dead (海外輸出用英語タイトル)
Zombie Flesh-Eaters (イギリス公開タイトル)
Sanguelia (日本公開タイトル)
Zombie (アメリカ公開タイトル)
Island of the Flesh-Eaters
Gli Ultimi zombi
Zombie 2: The Dead Are Among Us
Zombies 2
公開日
イタリア公開:1979年11月
日本公開:1980年5月24日
アメリカ公開:1980年7月18日
スタッフ
監督■ルチオ・フルチ
製作■ファビリツィオ・デ・アンジェリス/ウーゴ・トゥッツィ
脚本■エリサ・ブリガンティ/ダルダノ・サチェッティ(ノン・クレジット)
音楽■ファビオ・フルッツィ/ジョルジョ・トゥッツィ
撮影■セルジオ・サルヴァティ
編集■ヴィンセント・トマーシ
製作デザイン&衣装デザイン■ウォルター・パトリアーカ
特殊効果&メイクアップ監修■ジャネット・デ・ロッシ
特殊効果■ジョヴァンニ・コリッドリ
キャスト
アン・ボルト………ティサ・ファロー
ピーター・ウエスト………イアン・マカロック
デイヴィッド・メナード医師………リチャード・ジョンソン
ブライアン・カート………アル・クリヴァー
スーザン・バーレット………オーレッタ・ゲイ
看護婦………ステファニア・ダマリオ
ポーラ・メナード………オルガ・カルラトス
アンの父親………ウーゴ・ボローニャ
ルーカス………ダッカー
マシアス神父………フランコ・ファンタジア
新聞社編集長………ルチオ・フルチ
病死する女性………モニカ・ザンチ
上映時間
オリジナル版:91分
日本劇場公開版:90分
イギリス公開版:87分
撮影方式
テクニカラー/スコープ・サイズ(アナモフィック・レンズ使用)/1:2.35フレーム