つ、ついにリリースされた80年代ホラーのカルト作。今までもアメリカ盤でDVDはリリースされていましたが、いわゆる“カット版=アメリカ公開版”で、数々のゴア・シーンがカットされた不完全版でありました。まぁ、この映画の完全版は、世界中で日本だけで公開されたらしく、アメリカではカット版がデフォだったので、DVDだけではなく、ビデオもLDも同様のカット版でしたな。で、そのマスターを使った日本版ビデオ並びにLDもカット版でリリースされていた訳で、日本で公開されて以後27年間、ずっと完全版が封印されていた事になるんですな。
で、遂にここに来て、カットされたゴア・シーンを復元した完全版が、“特別版DVD”としてリリースされました。当初、カット・シーンは、特典映像にのみ収録という噂もありましたが、リリース直前になって変更。ここに遂に復活したのでありました。どのシーン、どのカットが復活した(カットされていた)のかは、特典映像にも“削除シーン集”として収録されているので、より分かりやすいですが、そこでは10のフッテージとなっているものの、ワタシの調査ではもう一箇所あったように思いますな。
@オープニング(プレタイトル)で美女がツルハシで刺されるシーンのツルハシが胸に突き刺さる瞬間、Aランドリーで洗濯機の中で回転して飛び出す女性の死体、Bバレンタイン・パーティに反対するバーのオヤジが悪戯するシーンで、ツルハシで喉から目を突かれ目玉が飛び出すシーン、C熱湯の鍋に顔を入れられる若者のアップ、Dシャワー管に喉を押し付けられた女性の喉から血が吹き出るシーン、E炭鉱の中でデブが顔に釘を刺されるシーン、Fハシゴを登ってる途中で、先に殺された若者の首が切れて上からゴロンと落ちてくるシーン、Gトンネルの角で、女性がお腹をグッサリ刺されるシーン、H昔の事件の回想シーンでの殺しのシーン、Iラストの、犯人が挟まれた腕を自分で引きちぎるシーン…の以上がそのカットされたフッテージですが、もう一箇所、最初の方の回想シーンで、炭鉱内に閉じ込められた男が空腹で自分の手を食べるシーンも復活したようですな。
以上11箇所、時間にすると僅か1分にも満たないですが、しかし、これがあるのと無いのとでは、映画に対するインパクトがまるで違いますからな。残虐だからカットされたとの事ですが、この映画は、そのシーンがあるからこそ、全体に漂う恐怖感を感じる事が出来る訳で、例えばシャワー管に刺された女性のシーンなんか、ある意味シュールな恐怖が漂っていて、とても印象深いと思うんですけどねぇ。とにかく、復活して良かったですな。
他に特典は、“Bloodlust”と題された、本作の監督や著名人のインタビューも含めた『血のバレンタイン』と当時のスラッシャー映画の見どころを集めたドキュメンタリーと、“Bloodline”と題されたホラー映画の系譜図。そして、削除フッテージ集に含まれている監督・キャスト・特殊効果マンのイントロダクション等。 音声がちゃんと5.1ch化されている辺りも、迫力があってイイですな。気になる画質は、さすがに復元されたフッテージは、長年封印されていただけに、多少フィルム傷が見え隠れしてますが、それでもかなりレストアされているので、そんなに気になりませんな。そこが復元シーンだと知らない人が見れば、そんなに違和感なく受け入れられるのではないでしょうか。勿論、通常のシーンは最高の画質になっております。 果たして、この状態で日本盤がリリースされるかどうか分からないので、取り敢えず押さえておくべきアイテムだと思われますな。
※日本盤未発売
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