パニック映画

 

エアポート'75 シャーク・トレジャー ダンテズ・ピーク
エグゼクティブ・デシジョン ジョーズ テンタクルズ
オルカ ジョーズ2 ハリケーン
カサンドラ・クロス ジョーズ3 ピラニア
キングコング スウォーム ヒンデンブルグ
グリズリー スピード ブラック・サンデー
グレートハンティング1&2 スピード2 フラッド
ゴールド 世界残酷物語 ポセイドン・アドベンチャー
コンコルド 世界女族物語 ポセイドン・アドベンチャー(EP)
殺人魚フライング・キラー 大空港 ホワイトバッファロー
サブウェイ・パニック 大地震 モンスター・パニック
さらばアフリカ タイタニック
ジェット・ローラーコースター 大陸横断超特急
シャーク! タワーリング・インフェルノ

 

 

ヒンデンブルグ The Hindenburg

CD/アメリカ・INTRADA/07年
全11曲

 

ユニヴァーサル映画の一連のパニック映画シリーズ(なのか…?)の一編。ドイツ製の飛行船ヒンデンブルグが謎の大爆発を遂げた実話を元にしたドキュ・ドラマ形式の映画で、クライマックスの爆破シーンは、実際のニュース・フィルムと新撮の特撮シーンとを合成して上手く仕上げておりましたな。ただ、ニュース・フィルムに合わせた為に、その部分だけモノクロになるというのが迫力不足で、大パニックを期待した向きには不評でしたが。

公開当時からサントラはリリースされていて、クライマックスの爆発シーンに使用された、ラジオ・アナウンサーの絶叫が聴ける実況もそのまま収録されていて、音だけで聴いていても臨場感いっぱいですな。そして、その後に流れるデイヴィッド・シャイアのテーマ曲も美しく、ヒンデンブルグの雄大さを華麗に描いてくれています。

長らくCD化が待たれていた作品で、ようやくリリースされたのはまずは嬉しい限りですが、曲数とかはアナログ盤と全く同じで、追加曲とかは無いようです。しかし、映画のオープニングに登場した“空の乗り物”のニュース・フィルムの音声がそのまま収録されていたり、テーマ曲をアレンジした各曲がイイ雰囲気を醸し出していて、『サブウェイ・パニック』と並ぶシャイアの名盤ですね。3千枚限定でリリースされたので、無くならない内にゲットの程を。

 

 

 

 

ブラック・サンデー Black Sunday

CD-R/アメリカ・ブートレグ盤/02年
全26曲

 

今から30年前の1977年7月23日、日本でロードショー公開の予定が、アラブ系過激派の直前の爆破予告によって、上映中止になってしまった曰く付きの映画で有名な一編ですな。『パニック・イン・スタジアム』に次ぐ、フットボール競技場を舞台にしたパニック映画として期待されていただけに残念でなりませんが、今観ると、パニック映画というよりもむしろ、その後の“ダイ・ハード系”の反テロリスト・アクション映画の様相を呈している、重要な作品でもありますな。

音楽は、当時メキメキと売り出し中のジョン・ウィリアムズ。時期的に『ジョーズ』『スター・ウォーズ』の合間に担当したもので、どちらかというと、劇伴に徹した作りになっているものの、クライマックスの空中バトルシーンでは、さすがにウィリアムズ節が炸裂しております。

公開当時(結局、中止になりましたが…)、サントラ盤はリリースされず、このカバー盤だけがシングルでリリースされておりまして、メイン・テーマをほどほどにアレンジした名曲になっていますが、やはり、オリジナルの迫力には負けますな。

因みにこのCDは、ブートレグ盤で、恐らくシネテープから直接ダビングされているものと思われますが、映画に流れた全曲が網羅されている貴重盤ではあります。今やDVDで簡単に観られる本作、そろそろサントラの方も、正式にリリースして欲しいものですな。

 

 

 

 

グリズリー Grizzly

EP/日・キング/76年
全2曲

 

正月に公開されて大ヒットした『ジョーズ』旋風がそろそろ収まったかに見えた激動の1976年夏、“ポスト・ジョーズ”の呼び声高く、コロムビア映画最大のヒットを狙って公開された動物パニック映画の大作がこれ。ストーリーから人物設定まで、ほとんどが『ジョーズ』そっくりに作られたモノマネ映画で、いわば“陸上版ジョーズ”。尤も、作りは似ていても、映画の出来まではマネ出来なかったみたいで、仕上がった作品はショボショボのトホホ映画になってましたが。

音楽はロバート・O・ラグランド。映画はトホホだけど、音楽だけは最高というのは、これはダメ・パニック映画によくあるパターンでもありますが、この映画の音楽もイイですな。とても映画の内容からは想像出来ない雄大な自然を思わせるスコアで、特にA面に収録されているテーマ曲の快調さは特筆もの。聴いているだけでワクワクしてきます。因みに演奏は、ロンドン・ナショナル・フィルハーモニック楽団と豪華。

また、このシングル盤のB面に収録されているのが、テーマ曲に歌詞を付けた主題歌(実際に映画のエンディングに流れる)で、男性コーラスによって唄われるこの曲も迫力があってイイですな。で、唄っているのが、“ロバート・O・ラグランドとコーラス”になっていて、という事は、ラグランドも一緒になって唄っているという事なんでしょうか。これは聴きモノですな。

 

 

 

 

 

シャーク・トレジャー The Shark's Treasure

EP/日・キング/75年
全2曲(サントラは1曲)

 

巷ではそろそろ『ジョーズ』公開に備えて、宣伝や雰囲気も盛り上がっていた頃の1975年秋、突如として緊急公開されたサメ映画がこれ。アクション派コーネル・ワイルド監督・主演による海洋アクション映画で、元々は『ジョーズ』とは何の関係も無い映画だったのを、“『ジョーズ』よりも早く作られたサメ・パニック映画”“『ジョーズ』のサメはハリボテだが、この映画のサメは本物だ!”とか、色々『ジョーズ』とリンクするように宣伝された映画で、『ジョーズ』公開の1ヶ月前に公開されたにも関わらず、短期間で上映が終了し、前哨戦にもならなかった寂しい結果に終わったのも、今となっては懐かしい思い出ですな。

カリブ海を舞台に、海底に沈んだ船から財宝を頂こうとする男たちの冒険ドラマに、財宝を守るが如く多数のサメが登場するという、いわば、サメはサブ・キャラクターな訳で、サメ云々よりも、欲に駆られた人間たちのアクション・ドラマがメインの作品で、サメを期待して観に行くと、かなりカックンする出来だったという印象が残っていますな。

本編の音楽は『グリズリー』等のロバート・O・ラグランドが担当しているんですが、残念ながら、スコアを収録したサントラ盤は未発売。で、その代わりに発売されていたのが、このシングル盤で、ジョッシュ・ペレスという謎の歌手が歌う“Lots of Money”(いっぱいのお金)という主題歌が収録されている。「♪マネマネマネマネマネ〜」というフレーズが印象深い軽テンポの曲ですが、確かに本編中、ちょっとだけ流れていたような…。でも、ほとんど印象に残っていないんですよねぇ〜。

B面は、同歌手が唄う、映画とは全然関係ない歌が入っているんですが、今、この歌手の名前で検索すると、トンでもなくアブないページが出てきたりして、そのページに登場する人とこの歌手とが、同一人物かどうかは不明です…。でも、“男の集団劇”というモチーフからすると、今の姿(笑)でもピッタリ合っているような気が…。

 

 

 

 

 

シャーク! Sharks And Men

EP/日・東芝EMI/76年
全2曲

 

『ジョーズ』公開後のちょっとした動物パニック映画ブームのドサクサに公開されたサメ映画。っていうか、ショック・ドキュメンタリー映画という方が正解でしょうか。まぁ、もっと正確に云うと、サメの生態を追った海洋ドキュメンタリー映画なんでしょうけど、サメがダイバーの足を食いちぎったショッキングなシーンが大きく取り上げられて、どちらかというと『グレートハンティング』のような、そんな扱いでしたね。

そのショック・シーンがあるせいか、キワモノ・ドキュメントに分類されていますが、内容はいたってマジメ(監督は海洋ドキュメンタリーの第一人者・ブルーノ・バイラーティ)で、そういう映画を期待して観ると、結構退屈で肩透かしを食らうハメになります。尤も、そのショック・シーンも、実は“ヤラセ”で、元々片足の無い人にダイバーの格好をさせて潜らせ、いかにもサメに食われたように見せて、甲板に救出されるシーンも、その無い方の足が強調されて映されていました。まぁ、『グレートハンティング』の人喰いライオンと似たようなものですな。

音楽はダニエル・パトゥッキ。他のバイラーティ作品でもコンビを組んでいたコンポーザーで、ここでも、青い海をバックにした美しい音楽を提供してくれていて、まぁ、この手の映画に美しい音楽というのは、イタリア映画界の常套手段ですね。でも、音楽だけを聴いていたら、凄い傑作に思えてくるんですけどねぇ〜。因みに、当時はLPもリリースされていました。

 

 

 

 

 

コンコルド  Concorde Affair '79  

EP/日・ポリドール/79年
全2曲

 

アメリカ・ユニヴァーサル映画の"エアポート・シリーズ"に対抗して作られたイタリア製バッタもん映画の一編。正確に云うと、ユニヴァーサルが『エアポート'80』を作っている最中に、同じコンコルドをテーマにした航空パニック映画をと、即席で作られた作品。まぁ、スケール感は本家に劣りますが、映画の内容は、陰謀あり、サスペンスあり、海中アクションあり、カー・チェイス&銃撃戦あり、そして航空パニックありと、結構盛り沢山な内容になっていて、トホホ感いっぱいだった本家より面白いかも…!?

音楽はステルヴィオ・チプリアーニ。このシングル盤の解説でも、イタリアの映画音楽界では、エンニオ・モリコーネと並ぶ大物という紹介ですが、担当している映画は、かなり怪しい映画が多いのも特長で、今回も、『テンタクルズ』に似たフレーズが気になりました。そもそも、印象的なフレーズは少なく、悲しいんだか寂しいんだか分からない「コンコルド/愛のテーマ」に、サスペンス調の「マルティニカの夢」というスコアのカップリングで、映画全編に、この2曲が繰り返し流れるという、ある意味手抜きに近い作風。そういえば公開当時はLPもリリースされていたようですが、買う必要は無かったような。

チプリアーニといえば、『ラストコンサート』という傑作もあるので、ナンか、その時のコンディションによって、“ヤラず感”が分かる人でもありますな(笑)。

 

 

 

 

 

スウォーム Swarm

CD/ベルギー・Prometheus/02年
全27曲

 

アーウィン・アレン製作による一連のパニック映画路線の1本。前作の『タワーリング・インフェルノ』でアクション監督を担当したアレンが、今回は映画全般の監督に進出。しかし、ヘタクソな演出のせいで、せっかく良く出来た原作を、見事に潰してしまった失敗作に仕上がり、興行的にもコケた残念作でもありましたね。

で、そんな映画でもジェリー・ゴールドスミスの音楽だけは最高。決して手を抜いていない真剣勝負には脱帽致しました。オープニングからゾクゾクするスコアが連続炸裂。ハチの羽音を取り入れたテーマ曲を始め、大仰なオーケストレーションによるダイナミックなサウンドがラストまでガンガン響き渡り、この音楽だけを聴いていたら、ホント、傑作に思えてくるんですが…。

劇場公開時にリリースされていたアナログLP盤よりも、かなりの曲数が追加された完全版仕様のCDで、トータルで72分強という長さで、ゴールドスミス節がタップリ楽しめるのがイイですな。3千枚限定のリミテッド・エディションなので、品切れにならない内に是非ゲットの程を。

 

 

 

 

フラッド Hard Rain

CD/米・MILAN/98年
全20曲

 

90年代末期、突如として沸いたパニック映画リメイク・ブームの頃に製作&公開された作品。タイトルからして、洪水ものパニック映画かと思いきや、実際は、大雨によるダム決壊で、大洪水で水没しそうな町を舞台に、現金輸送車強盗犯と警備員、そして警察とが入り混じっての攻防戦を描くクライム・アクション映画というのが正しい位置付け。ま、洪水パニックもののバリエーションでもありますな。

音楽はクリストファー・ヤング。手掛けている作品数は多い割に、イマイチ決定打に欠けるコンポーザーですが、そのくせサントラがリリースされると、何故か限定盤や早々に廃盤になってしまうケースがあったりで、結構希少価値率の高い人。この作品では、パニック・アクションに相応しくスケール感豊かなオーケストレーションを展開して、ダイナミックなアクションをとことん盛り上げてくれています。

この映画を観た事が無い人でも、メイン・タイトル曲を聴けば、「あ〜、どっかで聴いた事がある」という事必至。今は亡きテレビ番組「ザ・ジャッジ」のテーマ曲としても使用されていたんですね。

因みに、BMGジャパンからリリースされていた日本盤は、輸入盤に、日本版ジャケット・カバーを被せただけの代物で、一応、カバー裏には解説が掲載されているという、産地直送の雰囲気を出したもの。その日本版ジャケ・カバーが、下のデザインで、

何と、オリジナル・ジャケットとは、左右が逆になっているもの。バックの絵や色合いも違っていて、日本版独自のデザインにしようと努力しているのが分かりますが、それなら最初からジャケそのものを代えてしまえばよかったのに…と思ってしまいますな。ちゃんと、原題=英語題名も違っているのがミソ。この辺りは、“東和イズム”を感じさせますな。

 

 

 

 

ジェット・ローラーコースター Rollercoaster

CD/米・ALEPH/01年
全20曲

 

『大地震』『ミッドウェイ』に続いて特殊音響装置センサラウンドが使用されたパニック大作。まぁ、パニック映画というよりも、爆弾犯人と警察との丁々発止の駆け引きを描いたサスペンス映画と呼んだ方が相応しい感じがして、どちらかというと『サブウェイ・パニック』タイプの映画ですな。

音楽はラロ・シフリン。当時のシフリンは映画コンポーザーとしてだけではなく、オリジナルのフュージョン・アルバムなんかも出していたんですが、その時の1枚「タワーリング・トッカータ」の雰囲気をそのまま移植したかのようなノリで仕上げたとも云うべきサントラになってますな。特に「ローラーコースターのテーマ」は、フュージョン風サウンドになっていて、確かにノリノリって感じです。

他にも、サスペンス風やジャズ風(ちょっと『ダーティハリー』のエンディング曲を彷彿とさせるもの)、ロック調、ビッグバンド・ジャズ風、そして遊園地風サウンド等、シフリンの多才な面が伺える豊富なスコアがいっぱい詰まっています。

映画公開当時にもアナログ盤がリリースされていましたが、このCDは、それに未収録だった曲も何曲か収録された完全盤になっているのが嬉しいですな。

 

 

 

タワーリング・インフェルノ The Towering Inferno

CD/米・FSM/01年
全28曲

 

ブートレグ盤A
CD/ルクセンブルグ・TOWER/99年
全11曲

 

ブートレグ盤B
CD/米・不明/05年
全28曲(CD-R)

 

ブートレグ盤C
CD/米・タワー/05年
全35曲
パニック映画の年・1975年に公開され、その年の興行成績でベスト1に輝いた大ヒット作。その年のパニック映画ブームの頂点であると共に、歴代のパニック映画の中でも最高峰に輝く名作である。

音楽は、パニック映画の雄とも言うべきジョン・ウィリアムズ御大。アメリカでは、同時期の公開だった『大地震』と製作時期も同じだった関係か、多少似通った曲調のスコアも含まれているのはご愛嬌。日本では『大地震』の方が半年早く公開された為、この映画が『大地震』の曲に似ている…というイメージが強いですが、実際は、ほぼ同時進行だったようです。

アーウィン・アレン作品としては、『ポセイドン・アドベンチャー』に続いての登板だった訳ですが、予算も上がって編成その他も豪華になっているせいか、音圧もかなりのスケール・アップがみられ、特にタイトル・バック曲は、胸が躍るような力強い曲調で、ワクワクするような気持ちにさせられますな。

他にもパワフルでダイナミックな曲が多い中、劇中の何組かのカップルの愛と運命を謳いあげたような甘いスコアも多数あり、ロマンチックなムードも抜群ですね。確か、「Something For Susan」だったかと思いますが、TBS系の夜9時前かなんかの「天気予報番組」にも、BGMとして使用されていましたっけ。(月曜ロードショーの直前だったから、よく拝聴していました)

『ポセイドン・アドベンチャー』の「モーニング・アフター」同様、コチラの主題歌「We May Never Love Like This Again(タワーリング・インフェルノ/愛のテーマ)」もアカデミー主題歌賞を受賞し、ヒットしましたが、今回は劇中にモーリン・マクガヴァンが直々に出演していたのが嬉しかったですな(ちゃん避難出来たのか心配でしたが…)。

映画公開時に、マクガヴァンの主題歌と共にサントラLPもリリースされていましたが、その後長らく廃盤になっていて、CD時代になってもなかなか再発されませんでしたが、一時、そのアナログ盤から起こしたと思われるブートレグ盤(左のA参照。版権を意識してか、マクガヴァンの主題歌は未収録。ボーナス・トラックに「タワーリング・インフェルノ組曲」と、何故か「ブラック・サンデー組曲+未知との遭遇」なんかも収録)がCDで出回っていた時があり、正式なリリースが待たれていた訳ですが、70年代の名作を数多くサントラ・リリースしていたFSMより晴れて正式版がリリースされたのにはファンは殺到しましたな。アナログ盤には未収録だった曲(マスターがダメージで未収録だった曲もボーナス・トラックに収録!)も収録されて、しかもマクガヴァンの主題歌までも2バージョン(レコード・テイクと劇中テイク)収録されてのリリースにはマイりました。また、曲順が本編で使用された順になっているのが嬉しく、アナログ盤では、フィナーレが流れて終わりだったのに対し、FSM盤は、フィナーレの後に「設計者の夢」が続けて流れるという、映画同様の構成には、涙が出ますな。(ボーナス・トラックには、「モーニング・アフター」のインストゥルメンタル曲も入っているという力の入れよう)

そのFSM盤、限定3千枚がアッという間に売り切れてしまい、早々に廃盤になってしまった為に、オークション等で高値でやり取りされていたのが入手できなかったファンは歯痒い思いだったようで、巷では、そのFSM盤をそっくりコピーした海賊盤(左のB参照。ジャケはアナログ盤のものを使用)が出回ったり、或いは、そのコピー盤に、さらにブートレグAタイプに収録されていた組曲(タワーリングとブラック・サンデー両方)に、さらに「ジェーン・エア組曲」「スタンピード組曲」「ペーパー・チェイス」等のジョン・ウィリアムズ作品も追加された2枚組のブート盤(左のC参照。ダメージ曲も敢えて順番通りに組み込まれ、さらに何故かFSM盤にも未収録だった曲が2曲も入っているという謎?なバージョン)も出ていて、取りあえず正式版が入手できなかった人でも、それなりに安心出来る状況にはなっているようです。

因みにFSM盤は、マスターのせいか、CDになってもあまり音質は向上しておらず、アナログからノイズだけを除去した感じになっていますが、映画の雰囲気を味わうにはピッタリの、内容の濃いものになっているので、とにかく、パニック映画の音楽はこれだ!という王道スコアになっているのが聴いていてゾクゾクしますな。

 

 

 

 

カサンドラ・クロス The Cassandra Crossing

CD/伊・GDM/99年
全11曲

 

LP/米・CITADEL/77年
全11曲

LP/日本・ビクター/76年
全11曲
1977年度の正月映画で、下の『キングコング』とタメを張ったパニック大作。ライバル会社・東宝東和に対抗したヘラルドの謳い文句は、“『ポセイドン・アドベンチャー』と『タワーリング・インフェルノ』を列車に乗せて突っ走らせたような映画”との事。ま、大きく出ましたな。観客のアンケートでも、“初めて、愛のあるパニック映画に出会いました”ナンて言われていましたが、ウ〜ン、それはちょっと…。

チャールトン・ヘストンと並ぶ当時のパニック映画スター、リチャード・ハリス以下、オールスター・キャストで作られた本作は、実は、その後も日本で次々と公開されたITC映画のハシリだった作品で、当時は、オイルダラーで作られたパニック映画とも言われていましたな。

それはともかく、音楽はジェリー・ゴールドスミスである。当時から既に売れっ子だったゴールドスミスの、どちらかというと、ヤッツケ仕事のような感じもしたモンですが、今改めてジックリ聴いてみると、これが意外にもイイんですな。美しい旋律と、パニック映画特有の大仰なサウンド。素晴らしいですな。

「カサンドラ・クロス/愛のテーマ」は、実は映画の中では流れなかったサントラ盤のみのオリジナル。これがメチャクチャ燃えるスコアに仕上がっているんですな。ゴールドスミスが一切手を抜いていない証拠ですな。

因みに、左記の真中が公開当時リリースされていたアナログLPのアメリカ盤で、その下が懐かしい日本盤。収録曲はどれも同じですが、国によってジャケット・デザインが違うのが、サントラ・コレクターにとっての楽しみ(痛み?)の一つでしたな。個人的に、日本盤の、単に見せ場をまとまりなくコラージュしただけのデザインは、あまり好きではないです。この作品に限った事ではありませんが、もう少しセンスは無いものかと…。

もうひとつ因みに、上記が、イタリア盤アナログLP。思い切ってタイトル字のみという開き直りが感じられる逸品ですな。こういう思い切りも時には大切かと。

 

 

 

キングコング King Kong

CD/伊・MASK/98年

全13曲

 

CD/米・FSM/05年

全13曲
1977年度の正月映画。思えば2度目のリメイクであるピーター・ジャクソン版『コング』も正月映画でしたな。色々言われたラウレンティース版コングですが、今思うと、アレはアレで良くできていたような気が。殊“泣ける”という点に関しては、ラウレンティース版(ジョン・ギラーミン版とも言える訳ですが)の方が、絶対に上だと思うのですが…。

音楽はお馴染みジョン・バリー。未だに“007の”という形容詞が付くバリーですが、それはしょうがないですな。007シリーズが傑作なんだから。この作品も、どちらかというと、バリー自身は、全力投球していないような気がしますが(笑)、それでも、南の島のムードが良く出ていたり、ヒロインとの絆を表すスコアが雰囲気バッチリだったりと、なかなか聴きモノの仕上がりではあります。ちょっとばかり、この後の『ブルース・リー/死亡遊戯』に似た曲調も感じられますが、それはジョン・ウィリアムスにも言える事なので、ま、ヨシとしましょう。

公開時にリリースされていたTam盤サントラでは、コングの咆哮や効果音も入っていた筈でしたが、このイタリア盤CDも、咆哮音は入っています。その後、アメリカのFSMからもリリース(左記・下のジャケット参照)されていますが、収録曲は全く同じになっていました。FSMによると、このイタリア盤は、無許可でリリースされた限りなく海賊盤に近いバージョンであるとか。つまり、Tam盤サントラをマスターとしたものであるらしく、FSM盤の方こそ、“オリジナルの1/4からマスターされた最初の公式CD”あるとの事。ああ、そうですか…。

さらに続けて、“サントラの権利が映画の権利者と異なる企業が所有している為、オリジナルのLP盤以上のものをリリスーする事が出来ませんでしたが、そこは安い値段で勝負します”とも公言しており、確かに他のFSM盤に比べてちょっと安くなっているよう。実際、両方を聴き比べてはいないので、音質等の違いは分からない訳ですが、FSM盤にはブックレットが付いているので、これから買う人は、FSM盤をどうぞ。ま、聴く分には、どちらも変わりませんけど、ね。

 

 

 

サブウェイ・パニック The Taking of Pelham One Two Three

CD/米・FSM/01年

全11曲

 

CD/米・FSM/96年
全20曲
『ゴールド』に続いて公開されたパニック映画。実際は、パニック描写そのものよりも、犯罪アクション映画のムードが強い作品ですが、“地下鉄がハイジャックされる!”というシチュエーションが、時代の流れでパニック映画の範疇に入れられてしまった訳ですな。

音楽はデビッド・シャイア。映画公開当時はサントラ盤は発売されず、我が日本でTam盤のカバー演奏盤(スタンリー・マックスフィールド・オーケストラの演奏で、『ジャガーノート』とのカップリングという強烈盤!)がシングルでリリースされたきりで残念でしたが、かなり経ってからイギリスでサントラLPが自主制作盤としてリリースされたのが最初のサントラで、なかなか入手困難なレア盤となっていましたが、前世紀末、アメリカのFSMから、晴れて公式盤がリリースされました。

Tam盤が単なる同じフレーズの繰り返しだったのに対し、さすがはコチラはオリジナル盤。映画で流れたのと、同じアレンジのスコアが収録されていて、何とも溜飲が下がる思いですな。特にロング・バージョンのテーマ曲が聴けるエンド・タイトルがキッチリ収録されているのは嬉しく、映画を観た後、耳に付いて離れないあのテーマ曲が堪能出来るのは素晴らしい事ですな。

因みに、現在リリースされているのが、左記の上の盤で、下は初リリース時のもの。ジャケット・デザインが違うだけでなく、曲数も違いますが、初リリース盤では細かく分かれていたトラックを、新盤ではいくつか合体させて、まとめてあるので、実質的には、ほぼ同じといってもイイでしょう。ただ、実際には2曲程、短い曲ですが、デビッド・シャイア自身によって、削除されているようです。

元々、デビッド・シャイアのサントラ盤リリースが少ないだけに、これは貴重な1枚でもある訳ですが、『大統領の陰謀』『ヒンデンブルグ』そして『弾丸特急ジェット・バス』等のリリースも、是非、お願いしたいものですね。

 

 

 

ゴールド Gold

LP/英・PHILIPS/74年

全14曲

 

アメリカ盤アナログLP

LP/米・ABC/74年

全14曲
『大地震』『エアポート'75』大ヒット公開中の75年1月に公開されたパニック大作で、まぁ、本来はパニック映画ではないんでしょうけど、ブームだっただけに、これもパニック映画の範疇に入れられてしまった作品。でもまぁ、爆発して地底が洪水になってしまうストーリーだから、間違ってはいないかも…。

音楽は、大御所エルマー・バーンスティン。メイン・タイトルからしてジミー・ヘルムスが唄う主題歌(「♪ナンとかナンとか…ゴールド!」と唄うヤツ…誰も知らないか…)を流す等、どちらかというと、ロック感覚に溢れたアルバムになっております。ヘルムスの主題歌はエンド・タイトルにも流れますが、その他、トレヴァー・チャンスやモーリン・マクガヴァン(!)の唄も収録(劇中も流れた…筈…)されておりまして、全14曲中、4曲は歌曲という、当時のパニック映画では珍しい構成。

確か、シングル盤でも、ヘルムスの歌以外にマクガヴァンの歌も「ゴールド/愛のテーマ」としてリリースされていた筈で、まぁ、そういう時代だったんですなぁ。しかし、マクガヴァンを持ってくる辺り、確信犯的なのが面白いですな。

2005年現在、まだCD化されていない模様で、今は亡きバーンステインの数少ないパニック映画だけに、聴きたいと願っているファンも大勢いる事でしょうから、切にCD化を願いたいものです。

 

 

 

ポセイドン・アドベンチャー Poseidon Adventure

 

CD/米・FSM/98年
全25曲(『ポセイドン〜』は12曲)

 

 

ブートレグ盤A
CD/米・JOHNY BOY/95年
全17曲

 

ブートレグ盤B
CD/米・?/05年
全25曲(『ポセイドン〜』は12曲、CD-R)
そしてこれがアルバム盤。プライベート・レーベル(ブートレグ…?)盤として先にリリースされていたもの(左のA参照)もありましたが、これはその後にFSMレーベルから正式にリリースされたもの。『ポセイドン・アドベンチャー』1本だけでは尺が足りないという事で、同じジョン・ウィリアムズ作曲の『ペーパー・チェイス』『コンラック先生』も収録されたお徳用盤で、映画公開後、長らくソフト化されていなかった作品だけに、ファンには嬉しいリリースでありました。

まだ『大地震』『タワーリング・インフェルノ』を手掛ける前であるだけに、ウィリアムズ節とも言えるメロディラインが出ておらず、完全に劇伴に徹した音作りになっているのが、今聴くと逆に新鮮ですね。とりわけ、メイン・タイトル曲の短いながらもアドベンチャー感覚溢れるサウンドが、その後に起きる惨劇を予兆させて、いい雰囲気を出しています。

あくまでもジョン・ウィリアムズのアルバムという作りなので、主題歌の「モーニング・アフター」は未収録なのが、少し残念ですが、気になる方は、上記のシングル盤を組み入れて、独自のサントラ盤を作り上げると宜しいでしょう。但し、『タワーリング・インフェルノ』と共に、FSM盤は、リリース早々にして売り切れてしまったレア盤だけに、今から入手するのはちょっと難かも。

因みに、左記のAがFSM盤より先に出たブート盤。曲数がFSM盤よりも多くなっていて、収録曲も両者で微妙に違うので、両方を合わせて完全版になるような感じ。でも、何故、完全主義のFSM盤で、完全な形にならなかったのか不思議なのですが、どうやら入手したマスターが違うものであったらしいです(マクガヴァンが唄う「モーニング・アフター」もちゃんと収録されているし…)。もしかすると、ブート盤を製作した人(組織?)は、かなりコアなマニアだったのかも知れませんね。但し、音質は、FSM盤の方が、勝っている感じですが。

もう一つ因みに、その下にあるヤツがブート盤のBタイプで、コチラは、今でも時々出回っている(つまり入手可能だって事)CD−R盤で、FSM盤を完全コピーしたもの。ヤバいってんで、ジャケット・デザインは変えられていますが、雰囲気的には、コチラの方が好みなんですが…。

それにしても残念なのは、この作品に限っては、未だに日本盤が一度もリリースされていない事。最近公開されたリメイク版『ポセイドン』を機に、DVDが特別版としてリリースされているのと同様、サントラCDも、正式に日本盤としてリリースさして欲しいものですな。FSMも最近は、縮小に向かうとの事。マスターやら版権は、一体どうなってしまうのでしょうか。日本のメーカーで、「一丁やったるかい!」と宣言してくれる所は、果たしてないものかと…。

 

 

 

ポセイドン・アドベンチャー(EP) Poseidon Adventure

 

EP/日本・キング/73年

全2曲(サントラは1曲)
1973年の春休み映画として公開された『ポセイドン・アドベンチャー』の国内唯一のサントラ盤。まぁ、モーリン・マクガヴァンの主題歌「モーニング・アフター」のシングル盤である訳なのですが、堂々と“サントラ盤”と唄っている所が何とも懐かしいですな。ま、サントラで間違いない訳ですが。

当時はサントラLPのリリースはなく、90年代に入って2種類、アメリカ盤CDとしてリリースされた訳ですが、そういう意味では、当時としては貴重な“サントラ盤”であった訳ですね。確か当時、このジャケットに類似したLPがリリースされていて、それがサントラだと思っていた幼少の頃でしたが、アレは多分、ジャケットが『ポセイドン〜』になっていたカバー・オムニバス盤(最新映画音楽集…みたいなヤツ)だったんでしょうね。で、収録されていたのもマクガヴァンの唄わない「モーニング・アフター」のインストだったと…。

因みに、B面(死語ですな…)に収録されている「真夜中の嵐」という曲は、何となくこの映画のテーマに沿ったものであると思うのですが、実際は全く関係ないマクガヴァンの持ち歌だったようです。

 

 

 

大地震 Earthquake

CD/米・VARESE/90年

全13曲

 

 

下記の『エアポート'75』と同時期(1975年の正月映画)に公開されたパニック大作。この2本の公開により、75年はパニック映画の年になった訳ですが、キャストの顔ぶれを見ると、『エアポート'75』とこの『大地震』は、同時進行で撮影されたみたいですな。実際、同じユニヴァーサル映画だし…(笑)。チャールトン・ヘストンは、どちらかというとコチラの方に比重を置いていたみたいで、故に『エアポート』の方は、出番が短くなっている訳ですな。

コチラの音楽はジョン・ウィリアムズ御大であります。まだ、そんなに有名じゃ無かった頃ですが、アメリカではこの映画と同時公開になった『タワーリング・インフェルノ』も担当して、これで一気に株を上げたと言えますな。後に『タワーリング〜』のサントラも紹介する予定で、その時に述べようと思っているのですが、両者を聴き比べると、面白い事が分かりますな。

因みにこのサントラ、アナログ時代から日本盤もリリースされていましたが、何故かエンディング近くの「大地震の効果音」が収録されていませんでした。これは映画の中でも使用された地震の効果音がそのまま収録されているものでして、1曲目のメイン・タイトルの冒頭にも使われている効果音のロング・バージョン。これを重低音を効かせて音量を上げると、疑似センサラウンドが味わえるという優れもので、その昔、アナログLPのこの音声を15分ばかり繋げてカセットテープに録音して、家庭でセンサラウンドを楽しんでいた中学生がいましたが、アレはワタシの事です。お陰で、スピーカーが潰れてしまいました…。

で、後年、ビデオ・ソフト鑑賞の際に、地震のシーンになるとそのテープをシンクロ再生して、本当にセンサラウンド・システムで上映して、ご近所の顰蹙を買っていたのは、他でも無い、ワタシだったんですね。その節は失礼致しました。

何故、これが日本盤から外されてしまったのか、分かりませんが、多分、上記のようなアホが沢山増殖する事を恐れた為だったのかも知れませんねぇ。ま、メイン・タイトル冒頭の10秒ぐらいの地震効果音でも、それを編集すれば同じ様なものが出来上がるので、やろうと思えば出来たんでしょうけど…。

後にリリースされたLDでは、音声はステレオになり、現在リリースされているDVDもステレオ音声なので、一応低音を効かせると疑似ながらもセンサラウンド効果が得られるようですが、何か物足りない…という方は、このサントラから地震音だけを編集して、DVD鑑賞の際のお供にして頂ければ、何よりでございます。

 

 

 

エアポート'75 Airport 1975

CD/日本・ビクター/95年
全12曲

 

 

シリーズ第2弾ですが、前作の後アルフレッド・ニューマンが死去してしまったので、今回は新人のジョン・カカヴァスにバトンタッチ。前作のタイトル曲に勝るとも劣らない、スケール感溢れるダイナミックな音色で、いきなりカマしてくれる、これも傑作。映画もドラマチックならテーマ曲もドラマチックで、危機感を感じさせるスリリングな感覚は、この映画にピッタリという感じがしますな。

このテーマ曲を聴いていると、正月って感じがしてくるから不思議なもの。ま、実際に75年の正月映画として公開された訳ですが、自分自身も正月に観たという事もあり(実は、この年から一人で映画を観るようになったという思い出もあるんですな)、このテーマ曲=正月というイメージが浮かんでくる訳なんですな。確か、朝9時半ぐらいの開場だったのに、8時前に劇場に着いて(当時からセッカチだった…)、誰も来ないので一人寒い中1時間半も待っていた記憶があります。そういう思い出をこのテーマ曲を聴いていると、思い出してしまうんですな。ま、私事で恐縮でした…。

因みに、前作の『大空港』と同様ですが、CDのジャケ・デザインが、アナログ盤LPのものを流用しているものになっているのが、時代を感じさせますデス。特に曲目リストの部分は、LP時の“サイド1”“サイド2” の文字を消しているのが丸分かりなんですな(笑)。

 

 

 

大空港 Airpor

 

CD/日本・ビクター/95年
全12曲
70年代パニック映画ブームの先駆的作品。尤も、日本ではあまりヒットしませんでしたが…。音楽はベテランのアルフレッド・ニューマンで、とにかくメイン・タイトルのテーマ曲がスケールが大きくてカッコ良い。一時、ニュースや報道番組のタイトル・バック曲なんかにも頻繁に使われていて、後でサントラを聴いて、「アッこの映画のテーマ曲だったんだ!」と驚いた記憶があります。

そのテーマ曲の良さも手伝ってか、アメリカや日本でも、アナログ盤時代から、サントラがベストセラーになっていたらしく、日米双方でCD化もいち早く成された。テーマ曲以外の曲では、劇伴音楽に徹している部分があり、どちらかというと地味な印象を受けるが、それだけテーマ曲が派手でインパクト大だからだろう。

ジャケットがLP時と同じデザイン(裏面も含めて)になっているのが、嬉しいですな。ま、LP時のモノを流用しているといった方が正解なんでしょうが…。

 

 

 

 

 

 

 

 

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