One-Armed Boxer VS Flying Guillotine

Master of the Flying Guillotine

 

DVD徹底比較

 

まずは、今までにリリースされた各種ビデオ&DVDをご紹介致します。

 

ジャケット メーカー 仕様 コメント

【日本版ビデオ】

日・松竹CBS/FOXビデオ 画面:スタンダード

タイム:85分10秒

音声:日本語(モノラル)

字幕:なし

ビデオ・バブル期の80年代中頃に松竹CBS/FOXビデオからリリースされていた日本版ビデオ。劇場公開版(配給も松竹で、吹替え版での上映だった。因みに2本立で、同時上映は風間健主演の『少林寺拳法ムサシ/香港に現わる』)をそっくりそのままビデオ化している為、本編前の冒頭に日本語吹替えキャストの紹介も兼ねた日本語表記のオープニング・クレジットが45秒収録されている。

因みに、そのオープニングにクレジットされている吹替えキャストは、片腕カンフー(ジミー・ウォング):田中信夫、ギロチンの達人(カム・カン) :大平透で、他に、五十嵐美鈴、勝田久、竹尾智晴、日本語版台本は進藤光太とクレジットされている。

本編のクレジットは全て英語で表記されていて、タイトルも“One-Armed Boxer VS Flying Guillotine”になっていて、これは海外輸出用の英語タイトルである。

オリジナルは勿論シネマスコープ・サイズだが、ビデオ化に当たって、テレビ・サイズ、つまり、両袖をカットしたスタンダード版にトリミングされている。その為、やや窮屈な画面になっていると同時に、画質もイマイチ。

この当時の松竹ビデオは、後に廉価版でリリースされている作品もあるが、この作品は廉価版ではリリースされなかった為、マニアの間では、一時幻のビデオ扱いされていた。

 

【アメリカ版ビデオ】

 

海賊版(?) 画面:ビスタ(ややSQ)

タイム:80分22秒

音声:英語(モノラル)

字幕:なし

アメリカの怪しいビデオ店から購入した輸入版ビデオ。白ケースに入れられて、テープには背ラベルにタイトル“Master of the Flying Guillotine”のシールが貼られているだけの、多分海賊版…らしい。(左に掲載しているジャケットは、購入後に劇場公開時のチラシを元に製作した自作ジャケ・笑)

フィルム傷がかなり見られる古いプリントをマスターにしているところからみると、恐らく、アメリカ公開時のフィルムからテレシネされて作られたモノのよう。

当然ながら画質はイマイチだが、テレシネ時に左右を若干スクイーズ気味にしてマスター起こしされている為、結果的に16:9モードで左右を広げて観賞する必要がある、偶然的スクイーズ方式(笑)になっている奇跡的ビデオ。完全なスクイーズではない為(テレシネ時に左右を少しトリミングしている)、スコープではなくビスタ・サイズになっているが、それでも上記の日本版よりはワイドな画面で観られるのが特長。

上記日本版ビデオよりもランタイムが短くなっているのは、一部のシーンがカットされているから。(王羽が道場で弟子達に見せる“呼吸を整えて体を軽くする”技で壁や天井を歩く爆笑シーンがカット)このカット・バージョンでアメリカ公開されたのか、或いは、テレビ放映時に使用しようとしていたモノをマスターにしたのか、その辺りの経緯は不明である。

因みにタイトルは“Master of the Flying Guillotine”で、これはアメリカ公開タイトルである。

 

【香港版ビデオ】

 

WORLD VIDEO & SUPPLY INC. 画面:ビスタ(ややSQ)

タイム:88分29秒

音声:北京語(モノラル)

字幕:広東語・英語

 

こちらは香港でリリースされたビデオで、海賊版ではなく、ちゃんとした正式版(多分…。ジャケはカラーコピーっぽいですが…)。

基本的には、日本公開版(松竹ビデオ版)と同じバージョンのようだが、ランタイムが長いので、オリジナル台湾版(この映画は台湾映画なので)にしかなかったシーンというのが、収録されている模様。

画面は、これも上記のアメリカ製海賊版ビデオと同じく、若干スクイーズ気味の画面になっていて、これも恐らくテレシネ時に生じた偶然の産物だろう。

画面下部に広東語と英語の2種類の字幕が付いていて、2行に渡って表示される。しかし、表記が長くなる英語字幕の方は、完全なワイド版になっていない為、左右が切れているという状態。

元々のフィルムに字幕が焼き付けられているところを見ると、これが多分、台湾でのオリジナル公開版だったのではないだろうか…。

後の完全版DVDに比べてランタイムが短いのは、早回しされているからだろう。計算からいくと、ほぼこの時間になるので。

このビデオのタイトルは、字幕スーパー同様、中国語と英語の両方が同時に出る珍しいもので、英語の方はOne-Armed Boxer VS Flying Guillotineの表記である。

【イギリス盤DVD】

 

英・MOONSTONE PICTURES 画面:ビスタ(ややSQ)

タイム:80分30秒

音声:英語(モノラル)

字幕:なし

リージョン:ALL

PAL方式

 

2000年7月にリリースされたイギリス盤DVDで、これが本作世界初のDVDリリースこれが観たいが為にPAL方式も再生出来るリージョンフリーのDVDプレーヤーを買った人もいるとか。(それは僕です…)

バージョン的には、松竹ビデオ版と同じで、ランタイムが短い(ジャケットに90分と表記されているのはミスプリ)のは、PAL方式による早回しの為。アメリカ&香港版ビデオ同様、これもテレシネマスター作成時にややスクイーズ気味でトリミングされている為、結果的にスクイーズ方式になっている。気になる画質は、ビデオ版に比べると遙かに良いが、DVDとしては、普通ぐらい。

因みにタイトルは、“One Armed Boxer U”(ジャケット表記は“The”が付いているが、本編にはナシ)で、タイトルからして『片腕ドラゴン』の続編だと分かるようになっている。また、このタイトルは、今の所、このイギリス盤DVDのみになっている。

【アメリカ盤DVD】

 

 

米・PATHFINDER PICTURES / EPOCH ENTERTAINMENT 画面:スコープ(LB)

タイム:93分05秒

音声:北京語(モノラル)

    英語(モノラル)

字幕:英語・スペイン語

リージョン:ALL

NTSC方式

 

2002年9月にリリースされたアメリカ盤DVD。その少し前にアメリカでニュー・プリントでリバイバル公開(再々公開になる)されていて、そのニュー・プリントをさらにデジタル・リマスターしたものがマスターになっている、今までで最高の画質を誇る“アルティメット仕様”のDVD。

さすがにアルティメット版だけあって、特典は豊富。詳細は「輸入DVDレヴュー」にも書いたので割愛させて頂くとして、バイオグラフィー、スチル・ギャラリー、予告編集(オリジナル版&アメリカ公開版&再公開レストア版の3種)のお馴染みのモノに加えて、ウェイド・メイヤー&アンディー・クライン両評論家による音声解説が付いているのがポイント。これは、このアメリカ盤のみの特典である。

タイトルは“Master of the Flying Guillotine”だが、そのタイトル・クレジットに続いてOne-Armed Boxer VS Flying Guillotineのタイトルもクレジットされる“2タイトルバージョン”

他に、本編映像の特長としては、“幻の8分間”が収録された完全版である事。日本公開版(松竹ビデオ版=85分)にはカットされていたシーンが復元されている訳だが、そのシーンはアメリカ公開版にもなかったので、その部分だけは北京語音声&英語字幕になるというパターン。また、そのシーンはフィルム傷が若干目立つ為、他のシーンとの違いがよく分かります。

それに、何といっても、完全なシネマスコープ・サイズで収録されているのが良いですね。スクイーズ方式でないのが残念ですが、ワイド画面で観られるのは嬉しいものです。

【香港盤DVD】

 

香港・WINSON ENTERTAINMENT 画面:スコープ(LB)

タイム:93分05秒

音声:北京語(5.1ch)

字幕:中国古語・

    中国簡体語・英語

リージョン:3

NTSC方式

 

2003年8月にリリースされた香港盤DVD。本家本元で、やっとのリリースである。

収録バージョンは、上記アメリカ盤と全く同じで、同じマスターを使ったものと思われる。(画質も同じく良好)なので、これも93分の完全版&スコープで収録されている。クレジット・タイトルも全く同じで、「2タイトル・バージョン」である。

しかし、違う点が二つ。まず一つは、字幕に、中国語が収録されている事。お馴染みの“古語”と“簡体語”の2種類が収録されているのはやはり香港盤だからですな。

もう一つは、音声に注目。北京語オンリーですが、ナンと5.1chサラウンドで収録されているのだ! それまでのビデオもDVDもモノラル音声だったので、このステレオ・サラウンド化は特筆ものであります! まぁ、さほど効果は出ていないようですが、でも、サブウーハーから聴こえる低音かなかなかの迫力ですゾ! まぁ、元々のオリジナルはモノラルなんですが、それでも、5.1chにリミックスしてくれた好意に感謝ですな。

因みに、特典仕様もアメリカ盤とほぼ同じで、バイオグラフィー等は、当然ながら中国語になっています。

あと、スチル・ギャラリーは、アメリカ盤と違うスチルが収録されているので、これにも注目ですな。(収録数も違うので要注意…下記に違うポイントを掲載しています)

【日本盤DVD】

日本・キングレコード 画面:スコープ(LB)

タイム:93分05秒

音声:北京語(モノラル)

    英語(モノラル)

    日本語(モノラル)

字幕:日本語

リージョン:2

NTSC方式

 

そしてこの度、2004年2月にリリースされた日本盤DVDであります。1年半早くリリースされたアメリカ盤が“アルティメット版”だったのに対し、我が日本盤は、“祝ジミー・ウォング来日記念版”で真っ向勝負。本編仕様は、アメリカ盤・香港盤と同じながら、特典仕様で違いを見せようとするキングレコードさんの意欲はさすがである。

まず、初回生産限定として、ドス黒くて赤い、まるで血の色のようなスリーブケースが付属。これは世界初である。他に、16ページのカラーブックレットを封入。読み物としても、なかなか面白く、来日エピソードも勿論掲載。そして映像特典に、2003年東京ファンタスティック映画祭に来日した際の舞台挨拶を完全収録。並びに、インタビュー映像も収録されていて、これはとにかくレア映像で、勿論、日本盤だけの仕様である。

あと、松竹版ビデオ(というか、日本公開版)の日本語吹替え音声が収録されているのも、これは嬉しいですな。これでもう、松竹版ビデオの価値がゼロとなってしまった訳ですな。

他のバイオグラフィや予告編集等は、アメリカ盤や香港盤と全く同じで目新しさはないものの、スチル・ギャラリーは、これがまた違うバージョン(&枚数)になっているのが見物。

初お目見えの日本語字幕スーパーは、「映画秘宝でお馴染みのウェイン町山氏によるもので、なかなか理に叶った訳になっているのは、何処かの女帝字幕屋オバサンに爪の垢でも煎じて飲ませてやりたい気分でありますね。

因みに、吹替えでは主人公の事を「片腕のカンフー」(片腕カンフーではない)と呼んでいるのに対し、町山氏の字幕では全て「片腕ドラゴン」と表記してあるところが、なかなかマニア泣かせですな。だって、これはちゃんとした『片腕ドラゴン』の続編なんですもの。劇中にちょっとだけ、前作のシーンがインサートされてますものね。(因みに、前作のタイトルが『片腕ドラゴン』なのに、本作が『片腕カンフー』になっているのは、配給会社が違うから。前作は東和配給でしたな。マカロニ時代の“用心棒”と“ガンマン”の違いみたいですな)

ただ、これだけ特典仕様に力を入れた日本盤でも、唯一欠点があります。それは音声ですな。一応、オリジナルの北京語と輸出用の英語、そしてレアな日本語の3種類が収録されている訳ですが、そのいずれもがモノラル音声というのはちょっと…。香港盤がリリースされる前ならまだしも、先に出た香港盤の音声(北京語)がちゃんと5.1chサラウンドになっているんだから、最低限、その音声だけは5.1ch仕様でリリースして欲しかったですね。出来れば、英語も日本語も5.1chでお願いしたい所ですが、それは無理としても、せっかくDVDで出すんだから、音声にももう少し気を配って欲しかったものです。

前作である『片腕ドラゴン』のDVDは、北京語・英語とも、ちゃんと5.1chになっていたのに…。取り敢えず、それが唯一の心残りでしょうか。

 

という事で、今度は、DVDに絞っての仕様比較表です。

イギリス盤

画面 スクイーズ
サイズ ビスタ
画質 ★★★
音声 モノラル
特典 ナシ

 

メニュー画面

タイトル・クレジット画面

ピクチャー・デイスク・デザイン

アメリカ盤

 
画面 レターボックス
サイズ シネマスコープ
画質 ★★★★
音声 モノラル
特典 予告編集(オリジナル版・アメリカ公開版・アメリカ・リマスター公開版)
  バイオグラフィ
  スチルギャラリー(全12枚)スチル(5)・アメリカ77年公開時チラシ(1)・日本版チラシ(1)・アメリカ新聞広告(2)・興行成績表(1)・オーストラリア版ビデオジャケット(1)・アメリカ02年公開時チラシ(1)
  音声解説

メニュー画面

タイトル・クレジット画面

ピクチャー・ディスク・デザイン

香港盤

画面 レターボックス
サイズ シネマスコープ
画質 ★★★★
音声 5.1chサラウンド(北京語)
特典 予告編集(オリジナル版・アメリカ公開版・アメリカ・リマスター公開版)
  バイオグラフィ
  スチル・ギャラリー(全22枚)
メニュー画面
タイトル・クレジット画面
アメリカ盤に同じ
ピクチャー・ディスク・デザイン

日本盤

画面 レターボックス
サイズ シネマスコープ
画質 ★★★★
音声 モノラル
特典 予告編集(オリジナル版・アメリカ公開版・アメリカ・リマスター公開版)
  バイオグラフィ
  スチル・ギャラリー(全30枚)スチル(14)・日本版ロビーカード(8)・香港版ポスター(2)・キーアート(1)・アメリカ版ポスター(1)・日本版ポスター(1)・日本版パンフ(1)・香港盤DVD(1)・アメリカ盤DVD(1)
  王羽舞台挨拶映像
  王羽インタビュー映像
  劇場公開時の日本語音声
メニュー画面
タイトル・クレジット画面
アメリカ・香港盤に同じ
ピクチャー・ディスク・デザイン

 

結論として、どのDVDが最高か…?

本編の映像マスターは同じものを使っているので、画質的にはどれも同じ。

音声では、やはり、香港盤の5.1chサラウンド仕様が一歩リード。(他はモノラル音声のみ)

特典では、まず3種類の予告編収録は、どれも全く同じなので変わりは無いですが、何といっても、ジミー先生のファンタでの舞台挨拶とインタビュー映像に加えて、懐かしい日本語吹替え音声も収録されている日本盤が抜きん出ている感じがします。

但し、音声解説が収録されているのはアメリカ盤だけで、英語が堪能な方にとっては嬉しい仕様と言えるようです。

また、スチル・ギャラリーに関しては、アメリカ盤(12枚収録)・香港盤(22枚収録)・日本盤(30枚収録)と、数だけでは、日本盤が充実しているように見えるものの、例えばアメリカ盤には、劇場公開当時の新聞広告や、バラエティ誌の興行成績表が掲載されていて、なかなか興味深いものがあります。

 

因みに、これがそのスチル映像で、WEB上では確認するのが難しいですが、補足すると…

これは、1977年11月の第1週の全米の映画興行成績表で、

この時の1位が『ミスター・グッドバーを探して』、2位が『オー!ゴッド』、3位が『幸福の旅路』、4位が『ボビー・デアフィールド』、5位が『スター・ウォーズ』(勿論EPWの1作目です)、6位が『世界が燃えつきる日』、7位が『A Piece of the Action』(未公開)、8位が『Which Way Is Up ?』(未公開)、9位が『ジュリア』、10位が『007/私を愛したスパイ』、11位が『ピートとドラゴン』、12位が『キャリー』、13位は読みとり不能(スマソ…)、そして14位が『片腕カンフー対空とぶギロチン』という順位なのでした。

初登場で14位とは結構健闘しているようですね。因みに、この時は2度目の公開(再公開)で、このDVDがリリースされる直前の2002年に3度目の公開(再々公開)が行われたのでした。

 

あと、ジャケ比較では、ギロチン爺を大きく扱っているアメリカ盤、対等に扱っている香港盤、ジミー先生のパンチが鋭い日本盤(これはインターナショナル・キーアートを元にしたもの)と、それぞれ特長があるので、お好きなのをどうぞといった感じでしょうか。因みに、右手を突きだしている香港盤ジャケのジミーさんは、実は裏焼きです(ピクチャー・ディスクも同様)。本編を観れば分かる通り、ジミーさんは、右腕が無いのです。これは、ちょっと特殊なジャケかも知れませんねぇ〜。

という事で、5.1ch音声で香港盤インタビュー映像で日本盤音声解説とスチル素材でアメリカ盤と、結局甲乙付けがたい結果になり、最終的に、それぞれの特長を生かす為には、3枚全てゲットするしかないという結論に達したようです。

因みに、アメリカ盤はともかく、香港盤は$10前後で購入する事が出来るので、今回日本盤を買った人も、安心してコレクション出来るのでは…と思いますね。

あと、何度も言うように、今回の3枚のDVD(アメリカ盤・香港盤・日本盤)は、本編マスターが全て同じなので、映像には全く違いがなく、エンディングも全て、下記のように、ノンクレジットでしたが、僅か香港版ビデオのみ、“THE END”表記がクレジットされるものでした。

コチラはDVD版エンディング。

ノン・クレジットである。 

(右端で一人歩いているのがジミーさん)

そしてコチラが、香港版ビデオのエンディング。

“終劇”と“THE END”の2種類の文字がクレジットされる。

完全にマスターが違うようですね。

 

参考紹介【その1】

片腕ドラゴン

One-Armed Boxer

ジャケット メーカー 仕様 コメント

 

 

日本・トライアロウ 画面:スタンダード

タイム:85分10秒

音声:英語(モノラル)

字幕:日本語

 

2000年12月にリリースされた日本では最初のビデオ・ソフト。権利関係が複雑化していた為か、なかなかリリースされなかったが、待望のリリースの割には、あまり話題にならなかったのは、マイナー・メーカーだからだろうか…。(トライアロウさんは、一連のブルース・リー映画や『男たちの挽歌』等のサントラを精力的にリリースしてくれている素晴らしい会社です!)

実際、普通のレンタル店ではほとんど見掛けなく、ショップでも、国内の一部のマニアックな店にしか置いていないという状況で、なので、リリースされた事を知らないマニアも多数いたようだ。

当初は15000円もする高価なビデオだったが、2002年2月に廉価版(2000円)で再リリースされたものの、人気はイマイチ。画面がスタンダード・トリミング版だからかとは思うが、下記のスパイク版DVDが廃盤になってしまった今、2000円だとお買い得かと思いますが…。

因みに、表ジャケットに書かれてある“新世紀、最後のドラゴンが甦る!!”というコピーは、やはり21世紀に突入する直前にリリース(初発売)された為だろう。が、ジャケット裏のコピーは“両腕ドラゴンならブルース・リー、片腕ドラゴンならジミー・ウォング!”と書かれてあるのが笑えます。倉田保昭やブルース・リャン、ジャッキー・チェン等もみんな両腕ドラゴンですにゃ。

 

 

日本・スパイク 画面:スコープ(LB)

タイム:89分05秒

音声:北京語(5.1ch)

    英語(5.1ch)

字幕:中国古語・

    中国簡体語・英語・

    日本語・韓国語

リージョン:ALL

NTSC方式

 
トライアロウ版ビデオのリリースからほぼ1年後、2001年1月、遂に本作がDVDで登場。これにはみんなビックリしましたね。

上記ビデオとは違い、オリジナル通りのシネマスコープ・サイズのワイド版で、しかも驚くべき事に、音声は北京語・英語共に5.1chサラウンド仕様という、何とも素晴らしい仕様でのリリース! ホント、ビックリしました。

画質もかなり向上していて、デジタル・リマスターでのレストアぶりが伺える程で、特典にオリジナル予告編が収録されているのもナイスでしたね。(特典はそれだけですが…)

ジャケット裏に“タイトル名を含め、不適当と思われる表現が使用されていますが、公開当時のオリジナリティを出すため、変更せずに使用している事をご了承下さい”とのコメント表記がある所を見ると、やっぱり、“差別云々”でリリース(特に大手の)が難しかったのか…と思う訳ですが、“片腕”ぐらいで何でそんなに…とも思ってしまいますね。

因みに、メーカーのスパイクは、ブルース・リー映画や『Mr.BOO!』等の香港映画を多数リリースしてくれていたメーカーで、権利関係の縺れから、現在はDVD事業から撤退してしまった哀れな会社です。(2002年春頃)

その為、このDVDも、今や市場から姿を消してしまったもので、出回った数も少なかった為か、かなりのコレクターズ・アイテムと化しているようです。何とも残念な事でありますが、取り敢えず、運良くこれを手にしている人は、価値有るモノなので、大事にするように。

残念といえば、ジャケットがヘタクソなイラストになっているのがこれも何とも…。それと、背表紙の中国語タイトル表記が王拳臂獨”になっているのも惜しい。実際は“獨臂拳王”で、昔の中国語は右から左に字を読んでいたので、ポスター等には“王拳臂獨”と書かれてあるのをそのまま左から表記してしまったようだ。何ともにゃあ〜…。

 

 

参考紹介【その2】

他にもある“空飛ぶギロチン映画”

 

空飛ぶギロチンが登場する映画は、『片腕カンフー対空とぶギロチン』(75)だけではありません。その1年前に香港で作られた、そのものズバリ『Flying Guillotine(空飛ぶギロチン)』(74)が、初めてスクリーン内でギロチンを飛ばしました。

日本では、1974年のドラゴン・ブームの年に公開された『嵐を呼ぶドラゴン』でも有名なチェン・カンタイ主演の映画で、中国清王朝時代、政府の秘密機関として作られた暗殺組織の面々が、空飛ぶギロチンという殺傷武器で、政府に反逆するテロリスト達を殲滅するという内容で、主人公は、最初組織に属していながら、仲間の裏切りで組織から追われ、友人や家族を殺されてしまい、その復讐の為、最後は組織と対決するというストーリーになっていました。

クライマックスの空飛ぶギロチンVS空飛ぶギロチンの対決が最大の見せ場な訳ですが、ここに登場する空飛ぶギロチンは、『片腕カンフー〜』に登場したものとはちょっと違っていて、帽子状の周りにも鋭い刃が付いている為、ギロチンした後に手元に戻ってくる時に、ヘタにキャッチすると、自分の手もギロチンされてしまう(!)…という、実にアブない武器として描かれていて、その練習シーンでは、チームの連中がキャッチに失敗して、次々と腕を落としてしまうという凄いシーンがありました。

因みに、監督はメン・ワ・ホーという人で、この監督は後に『北京原人の逆襲』を撮った人でもありますね。

その後、監督が替わって続編『Flying Guillotine2(空飛ぶギロチン2)』(78)も作られましたが、その後に作られた『The Fatal Flying Guillotine(アブない空飛ぶギロチン)』のブッ飛び度も強烈でした。

ジミー・ウォングとは『怒れるドラゴン/不死身の四天王』でも共演した事がある、香港版ブロンソンと異名を取った(笑)『危うし!タイガー』のチェン・シン主演による、まさにアブないギロチン映画で、そのチェン・シンが手にするのは、何とダブル・ヌンチャクならぬダブル空飛ぶギロチン! しかも電動式という画期的なもので、これを駆使して秘宝を奪いに来る連中を片っ端から切り刻むという、何とも恐ろしい映画に仕上がっていました。

ダブル電動式空飛ぶギロチンをブンブン振り回して、鬼気迫る勢いでスパスパと切り刻むチェン・シンのニタニタした顔つきが忘れられない怪作でした。

大体、空飛ぶギロチンという武器を映画に登場させた時点で、映画の方もブッ飛んだモノになってしまっているケースが多い訳ですが、空飛ぶギロチンの登場以上に、そのキャラクター設定だけでブッ飛んでしまったのが、次に紹介する『座頭市対空飛ぶギロチン』です。

主演の座頭市に扮するのは勝新太郎…ではなく、勝利太郎(本名・酒巻輝男)というレッキとした日本人。座頭市のソックリさん(って事は勝新太郎のソックリさんでもありますな)として、国内で「スターそっくりショー」等の相似形番組に出演し、沢山の賞をかっさらったのが有名になり、その風貌を買われて台湾へ出向。この映画を始め、台湾版座頭市シリーズに何本か主演した、まさに、偽ブルース・リーならぬ、偽勝新というお人であります。

そんな彼のシリーズ第1作目に当たるのがこの作品で、盲目の座頭市が空飛ぶギロチンを操る殺し屋と対決するという、もうその設定だけでお腹イッパイになってしまうような、そんなトンでも映画に仕上がっています。

座頭市には、ほとんどセリフらしいものがなく(多分、中国語を喋れなかったからでしょう…)、しかも、どちらかというと、脇役的な扱いになっているのが笑えますが、時折展開される居合い抜きを交えたアクションは、さすがに本家をよく勉強しているだけあって、なかなかのモノで、クライマックスでの空飛ぶギロチンとの対決は、トンでも映画史上屈指のシーンになっています。

しかしよく考えると、『座頭市』をヒントに香港で作られたのがジミー・ウォング主演の『獨臂刀』(片腕剣士)で、その二人が共演して日本で『新座頭市/破れ!唐人剣』が作られ、さらにジミーさんが、『獨臂刀』のクンフー版として『片腕ドラゴン』を作り、その続編が『片腕カンフー対空とぶギロチン』になり、その空飛ぶギロチンと座頭市が戦うのが『座頭市対空飛ぶギロチン』…というのは、実に何とも、因果は巡るっていう感じで、面白いものですね。

 

 

参考紹介【その3】

“片腕ドラゴン・シリーズ”に第3弾があった!?

『片腕ドラゴン』(72)に始まるジミー・ウォング主演の“片腕ドラゴン・シリーズ”は、第2作目の『片腕カンフー対空とぶギロチン』(75)までは知られていますが、意外にこの後3作目が作られている事は、あまり知られていません。

『獨臂拳王勇戦楚門九子』“One Armed Against Nine Killers”という作品がそれで、日本でも未公開の上、ビデオ等も出ていないのですが、これは直訳すると、“片腕ドラゴン対9人の殺し屋”という意味で、僕は勝手に『片腕ドラゴンV/激突!9人のカンフー』という邦題を付けちゃいました。

時代背景とかは、前作・前々作とちょっと違っていて、しかも、クンフーに剣術ものも取り入れた作品になっているので、ちょっと獨臂刀テイストも入っているところから、シリーズの正式な一編に入れてイイものか分かりませんが、しかし、ジミー先生が片腕のクンフーに扮するのは全く同じで、ここでもトンでもないシーンが展開しています。

ただ、『片腕カンフー対空とぶギロチン』を観た後では、ちょっとインパクトに欠ける嫌いはあるものの、しかし、ラストで、アッと驚くドンデン返しがあるのには超ビックリ! 「こんなん反則でっせ!」というコチラの問いに、「勝ちゃ、イイんだよ!」というジミーさんの声が今にも聞こえてきそうな一編でした。(因みに、この映画でのジミーさんは、左手が無くて右手だけのクンフー使いという役柄になっていて、今までの『片腕ドラゴン』や『片腕カンフー〜』とは、腕が逆になっています。で、実は、これがラストのドンデン返しに至る重要な伏線になっていたんですが…)

 

 

参考紹介【その4】

『片腕カンフー対空とぶギロチン』に惚れた人は、

そのサントラ盤も聴いて燃えろ!

『片腕カンフー対空とぶギロチン』を観て、映画のブッ飛び内容に驚いた方も大勢いるでしょうが、中には、その音楽にハマった方もおられるのではないでしょうか。

とりわけ、ギロチン爺が登場する際に流れる「グワァ〜ン・ダッダッダッ…」という、地の底から聞こえてくる唸り声とでもいうような低音のサウンドが妙に印象的で、これはまるでこの映画の為に作られたかのようなピッタリのスコアになっているのが凄いですね。

あのタランティーノの『キル・ビルVOL.1』でも、GOGO夕張が登場するシーンのバックに流れた事でも有名で、その『キル・ビル』のサントラ盤にも、抜粋という形で収録されていますが、全曲聴きたいという方には、この『片腕カンフー対空とぶギロチン』のオリジナル・サウンドトラック盤をお薦めします。

これはオフィシャルな形ではリリースされなかった幻のサントラで、世界で10枚ぐらいしか出回っていない超レアなアイテムです。ギロチン爺のテーマ曲は勿論、メイン・タイトルに流れるゴキゲンなロック調テーマ曲も収録された映画の面白さを再現する聴き心地満点のサントラです。

というのは嘘で(笑…スマソ…)、実はこれ、ジャケは自作です(笑)。この映画のサントラはリリースされておらず、というのも、この映画の中に流れる曲が、既成曲を勝手に使っているので、出したくても出せない理由があるのです。

特に先ほどのキロチン爺のテーマと、メイン・タイトル曲の2曲は、ジャーマン・ロックの雄Neu! のセカンド・アルバムに収録された曲をそのまま使っているだけでして、なので、そのNeu!のアルバム「Neu!2」を聴けば、サントラ代わりになるという訳なのです。

6曲目の「Super16」がギロチン爺のテーマ曲で、11曲目の「Super」が、メイン・タイトル曲として使われています。勿論、映画の中にその旨のクレジットはありませんので、勝手に使っているのは一目瞭然。著作権侵害問題とか、起きなかったのでしょうか…? でもまぁ、ビデオになったり、DVDになったり、リバイバル公開されたりしても、そのまんまのバージョンてリリースされているので、問題は起こっていないんでしょうねぇ、多分…。

試しにこの「Neu ! 2」を聴いてみてあらビックリ。他にも色々凄い曲がいっぱいでした。ユーロ・プログレに通じるような前衛的な曲ばかり(曲中にレコード盤を擦ったり、針がいきなり飛んでしまうような効果音も入れられていて、アナログ盤で聴いた時は、プレーヤーの故障か、レコード盤に傷が付いているのかと、勘違いする人が多かったとか。CDで聴いても、一瞬ビックリしてしまいますね)で、聴いていて思わずハマってしまう事受け合いです。それと、他に何曲か、部分的にこの映画に使用されてもいるみたいで、まさにこの1枚が『片腕カンフー対空とぶギロチン』のテイストに溢れていると言っても過言ではない名アルバムだと思います。是非ご一聴を。

すると、ジミー・ウォングは、Neu!のファンだったんでしょうかねぇ〜。来日インタビューで訊いてくれたらよかったのに…。

 

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