観てはいけない!?

ヤバい映画10連発!

 

今回は、“ヤバい映画”の特集。

まぁ、人それぞれによって、“ヤバい”基準は違うとは思いますが、

例えば、「これはヤバくて、TV放映出来ません」とか、

「ちょっと常人には理解出来ない不可解な映画」とか、

そういうものを中心に10本集めてみました。

中には、以前も、そして今後も、「ビデオにはならない」

ナンていう作品も含まれていますが、

ほとんどが、ちゃんとビデオ化されている映画ばかりなので、

「ナンだ、全然ヤバくないじゃないか!」と

思われるかも知れませんが、

でも、観たらやっぱり後悔するような映画が大半なので、

ハッキリ言って今回は、ツラかったです…。

 

★某月某日午後6時00分

ますは1本目。某K氏提供による『ノストラダムスの大予言』(74)。勿論、海賊版。もっと正確に云うと、海賊版テープからさらにダビングしたもの。何度目かのダビングという、かなりの曾孫テープのようなので、画質は、相当悪い。まるで、“いつか観た事のある”裏ビデオみたいな感じ。そういう意味では懐かしい。でも、貴重な映画なので、必死に観ました。取り敢えず、誰が喋っているのかという事は、微かに判別出来るようで…。

         

今までは、カット版の輸入LDでしか観た事なかったのですが、今回は勿論、オリジナル版です。東宝マークから始まるスコープ・サイズのビデオで、多分、86年の春に、一度ビデオ化されそうになった事があり、その時の素材が元になっていると思われます。画面の上部にタイム・ベース・カウンターが付いていて、ちょっと目障りなのですが…。

とにかく全編、主演の丹波哲郎の「俺が!俺が!」的勢いを感じる映画になっていて、いわばタンバのワンマンショー。そういう面では面白い映画です。他に、奇形や、カニバリズムや、被爆や、怪物…とかいった、ヤバそうな要素は沢山あるものの、これといって、「ヤバい!」と思われるようなものはないと思いましたが、やっぱり、世界で唯一の被爆国である日本では、許されないんでしょうかネ〜。でも、こうして完成したんだから、一つの芸術作品(劇場公開時は、文部省特選作品だったようだし…)として、後世に残しておく事も必要ではないでしょうか。

何ともキワモノ的描写が連続した作品で、一つの見せ物として観れば、これ程楽しいものはありません。1999年7の月も過ぎてしまった今、酒の肴にでもしながら、これを観て楽しむのも、21世紀の人間の特権なのではないとか思いますが、どうでしょう。ビデオじゃなくてもイイから、是非、DVDで、こっそりとリリースして貰えないのでしょうか、東宝さん。少々高くても、みんな買うと思うのですが…。

 

★午後8時05分

2本目は、今の時流を考慮して、『真由美』(90)です。勿論、アメリカへの無差別テロ攻撃を意識してセレクトしたもの。87年に起こった、北朝鮮の工作員による、大韓航空機爆破テロ事件の全貌を描いた映画。その工作員の一人の名前が、日本名・蜂谷真由美。本名・金賢姫。因みに、この映画の正式なビデオ・タイトルは、『政治犯・金賢姫 犯罪史上衝撃の大韓航空858便爆破事件/真由美』。長いヨ、ホントに。

         

事件解明後、即映画になったものらしく(作ったのは勿論、韓国側)、日本でもTBSで一度だけテレビ放映されたらしいです。今回のは、その時の放映バージョンをそっくりそのままビデオ化したもので、だから、音声も日本語吹き替え版。

何故か日本から大信田礼子、そしてハリウッドからジョージ・ケネディまでも出演していて、一見、国際的オールスター・キャストの雰囲気を出そうとしていますが、知った顔はこの二人だけで、しかもどちらも、ほんの顔見せ的なチョイ役ときては、それを期待した人はガックリ来るぐらいですが…。

しかしドラマの方は濃厚で、前半は、金賢姫が、どのようにして北側の女スパイとして養成されていくか、そして、爆破テロにどのように加担していくかがしごく克明に描かれ、中盤に例の爆破シーンが登場。ハリウッドからSFXスタッフを招聘したというだけあり、なかなかスペクタクル感溢れるパニック・シーンになっていますが、やはり、その描写のリアルな点が凄いです。おそらく、被害にあった当事者の遺族たちが観れば、正視できないんではないかと思えるぐらい、事故発生後の機内の描写がリアルで、一体誰がここまで見てたの? と思うヒマも与えないぐらい圧倒されました。

しかし、そこで終わればただのパニック映画ですが、この映画では、その後にもう一つクライマックスが用意されていて、犯人として捕まった金賢姫が、捜査官たちに徹底的に追及されるシーンを始め、裁判所では、被告席に立った彼女に、遺族たちが思いっきり罵声を浴びるのを、映画は淡々と写し出していて、これこそが極刑だと言わんばかりの冷たい視線は、我々日本人にも感じ取る事が出来ました。

それにしても、金賢姫を演じている女優さんは、本人に似ていて綺麗。だから余計、残酷に感じてしまうもので、この事件が『シュリ』のヒントになったという事を考えると、やっぱり、女テロリストは、美人でないといけない、という事がしみじみと分かりました。分かったからと言って、ド〜という事もないのですが…。

 

★午後9時50分

3本目は、前作とのアジア映画繋がりで、『黒い太陽・七三一/戦慄!石井細菌部隊』(88)です。

      

森村誠一が「悪魔の飽食」と題して発表し、ベストセラーとなったと同時に、各方面から物議が噴出、出版停止云々による訴訟騒ぎにまで至った、例の満州に於ける我が日本軍の「七三一部隊」を描いた香港映画。この香港映画という点がポイント。「悪魔の飽食」は、いわば内部告発のような形だった訳ですが、コチラは、被害者(戦争に敢えて、被害者・加害者が存在するとして)側から描いているだけに、かなり露骨に、かなりデフォルメされて映像化されている点が、ある種見物です。

ゲッ…。見物とか何とか言ってるけど、これはかなりエグいですヨ、本当に。「悪魔の飽食」を読んだ時も、かなり気分が滅入りましたが、これはこれで、ストレートで真っ向勝負されている迫力は、結構エゲツないです。生まれたばかりの赤ん坊が、雪の中に投げつけられる所とか、凍傷の実験だと言って、濡れた腕を零下30度の寒中に放置、その後、熱湯に浸けて、ちょっと切れ目を入れただけで、腕の皮がツルリと剥けてしまう所なんて、あまりにあんまり…。

本当に、こんな事やっていたのかナ〜という我々の疑問はほったらかしにして、ドラマはドンドン進んでいき、マルタと称される少年たちが、次々と実験室に呼ばれては、惨たらしい生体実験のえじきにされてしまう所など、ダイアン・ソーンの“イルザ・シリーズ”なんか、子供の遊びに思えてしまう程、強烈なインパクトで我々日本人の胸を締め付けてくれます。

一度、『パール・ハーバー』を観て泣いている人に、「これが戦争っていうもんだヨ」って、観せてやりたいぐらいのショッキングな映像の数々で、この3本目でかなり食傷気味になってしまいました。

実はこの映画、後に続編が2本製作されて、「悪魔の飽食」同様、全部で3部作になっているのですが、後の2本は、この1作目から映像を流用したりして、かなり手抜きが目立ちます。それにストーリーも、ヘンにドラマっぽくなってしまっているので、取り敢えず、この1作目だけで十分だと思われますが、シリーズ3本観て、「悪魔の飽食」も3冊全部読んだ後は、間違いなく、人生観が変わってしまうと思うので、ヤメた方がイイでしょう。やった本人が言うのですから、間近いありません。

 

★午後11時45分

4本目は、雰囲気を変える為、舞台をアジアからヨーロッパに移してみました。観たのは『地獄の貴婦人』(75)。ロミー・シュナイダー主演のフランス製猟奇犯罪映画です。

      

フランスで実際に起こった猟奇的な保険金殺人事件を描いた、いわば実録犯罪物で、どちらかというと、その描写の強烈さ故に、スプラッター・ドラマと呼んでも遜色がないような内容に仕上がっています。

知り合い夫婦に無理矢理保険をかけ、その後拳銃でブッ殺し、その死体を硫酸で溶かして、庭先に埋めるという、何とも残虐非道な役柄を、ロミー・シュナイダーが怪演。直接手を下した訳ではないのですが、その愛人の手伝いを、文句も言わずに淡々と続ける姿が、何とも不気味。浴槽で溶かした死体のドロドロした液体を、2階からバケツで、オッチラオッチラと運ぶ行為が、延々と描かれ、途中で腹が減ったとパスタを口にしながら、それでも運び続ける様は、まさに“地獄の貴婦人”に相応しいお姿。そのシーンのグロテスクさは、イタリア製の猟奇ホラー映画をも上回る迫力を感じてしまいました。

でも、そんなに苦労して運ばなきゃならないんなら、最初から庭で溶かせばよかったのに…、と思ってしまったのですが、これから実行しようとする人は、このアドバイスを参考にして下さい。って、誰に言ってるんだか…。

 

★午前1時30分

ここらでちょっと休憩。ナン、エグい映画ばかりなので、あまり食欲ナシ。熱いコーヒーに、後、ちょっとおつまみ程度で、ピーナッツをかじる。気は、かなり落ち込み気味。まだ6本も残っている。やれやれ。ま、コーヒー飲んで目も覚めた事だし、次行ってみよう。

 

★午前1時50分

前作に続いてヨーロッパを舞台にした映画。今回の中では、どちらかというと、唯一の巨匠とも言うべきピエル・パオロ・パゾリーニ監督による『ソドムの市』(75)。

     

これもエグい、というか、観ていて胸糞の悪くなる映画だ。以前観て、「もう二度と観たくない映画」と、自分自身でレッテルを貼って封印してしまったにも関わらず、こうして今回セレクトしてしまった。

サド公爵の「ソドムの120日間」を、パゾリーニ流に解釈した、ホモ&レイプ&スカトロ映画。陥落間近のイタリアで、自分たちの快楽に耽る高級官僚たちを描いている訳ですが、さっきも言ったように、観ていて胸糞が悪くなってくるシーンの連続で、残酷だとか汚いとか、イヤらしいとか以前の問題で、登場人物たちに対する嫌悪感が先に立ってしまう、嫌な映画。まさに苦痛の連続。例えフィクションであるとはいえ、こんなにムカツく映画というのも珍しい。登場人物たち全員を、ブっ殺したくなってしまいました…。

さっきの「七三一部隊」の場合は、“戦争”という大義名分があった訳だけど、今回のコイツらは、単なる快楽の為というのが、ナンか「許せない」という気持ちになってしまうもので、一体、何の為に、誰の為に作られた映画なんだろうと、ちょっと疑問に思ってしまいました。これ観て、喜ぶ人の神経を疑いたいです。

それにしても、ヘアー解禁のご時世なのに、ボカシが入りまくるというのも考え物ですが、元々、ヘアーに関係ない少年少女たちが大挙出演しているというのは、やっぱりヘアー以外の部分でダメなものが写っているという事なんでょうけど、イイんじゃないですか。子供なんだから。

 

★午前4時00分

後半、折り返し地点は、日本映画でお口直し。僕の大好きな東映実録ヤクザ映画から1本。佐藤純弥監督の『実録私設銀座警察』(73)の登場。

        

大体、ヤクザ映画、それも実録モノというのは、全体的に暗くて陰惨なものが多いですが、今回のこの作品、そんな中でも超陰惨なグログロの暗黒映画と言っても過言ではないぐらいの真っ暗けの映画。ヤクザ映画特有のヒロイズムなんてのは、これっぽっちもないぐらい、ドロドロとした澱みしか見当たらないような映画に仕上がっていて、今回のこの企画にはピッタリでした。

なにせ、安藤昇とか梅宮辰夫とか、いつもの顔ぶれが出ているのですが、誰一人としてカッコいい活躍をする訳でもなく、とにかくただひたすら、抗争に抗争を重ね、その度に死人が続出するという惨たらしいシーンの連続。

中でも一人、ターミネーターの如き死に損ないを演じる渡瀬恒彦の不死身ぶりは、この映画の暗黒性を全て背負っているような感じで、彼が出てくる度に、映画のトーンはドンドン下がる一方。オープニングの母子殺しから、クライマックスの内田朝雄のブタの餌シーンまで、観ていて思わず閉口し、落ち込んでしまう事間違いない、ヤクザ映画でした。心は真っ暗けです、ホントに…。

 

★午前5時45分

そろそろ辺りが明るくなってきたみたい。この辺りでスカっとする映画でも観て、気分を一新したいところですが、そうはいきません。続いても日本の東映映画。今度はヤクザ映画ではなく、一風変わったセミ・ドキュメント作品『戦後猟奇犯罪史』(76)。

         

いきなりあの泉ピン子が登場して、パネルを持って事件のレポートをするという、懐かしの「ウィークエンダー」形式で映画はスタート。まぁ、今だからこそ懐かしい訳で、当時はリアルタイムな番組だった訳だから、当時の観客には受けていたのでしょう。

全部で3つの、戦後に発生した猟奇的な犯罪事件が、再現ドラマ形式で展開される訳で、それぞれの犯人を、室田日出男、五十嵐義弘、川谷拓三の、ヤクザ映画のバイプレーヤーでお馴染みの3人が演じていて、このキャスティングもなかなかユニーク。

中でも一番重要なパートを演じているのが川谷拓三で、これは例の大久保清がモデル。本人同様、ベレー帽を被ったりしているけど、タクボンじゃ、どう見たって画家には見えない。それを敢えて堂々とやっているところが、東映映画テイスト。

実際の殺人シーンはボカされている為、ヤバいという程の事は、あまり見られない作品ですが、クライマックスでズラリと並べられた犠牲者(大久保が殺した女性の死体)を前にして、オロオロする大久保清に、みんなして石をブツけて血まみれにする遺族の人たちのシーンは、観ていて悲惨な思いがしてしまいました。ある意味、『真由美』のクライマックスに匹敵するシーンのようで、これも本当にあった事なのかナ〜と思ってしまった。

しかし、克美しげるをモデルにした歌手を演じた五十嵐義弘って、バリトンの良い声をした役者さんなのに、歌うシーンが一つもないってのは…、スタッフの嫌がらせでしょうか? 歌い終わったシーンは、あったのに……。

 

★午前7時05分

ここらでちょっとモーニング・タイム。いくら残酷で暗い映画ばかり観てきたといっても、やっぱりお腹は減るもの。熱いコーヒーにトーストで、軽く朝食を摂った後、お風呂に入って眠気醒まし。その後もう一度コーヒーをすすりながら、8本目にチャレンジ。

★午前7時35分

続く8本目は、日本から再びヨーロッパに飛んで、ドイツ鬼畜スプラッターの登場。今回の中では、比較的新しい『悪魔のえじき/ブルータル・デビル・プロジェクト』(99)。

      

最近のドイツ映画といえば、以前、「ムービー・コラム」で紹介した、『ネクロマンティック』のブットゲライトや、『テロ2000年/集中治療室』のシュリゲンズィーフ、『新ゾンビ』のイッテンバッハなど、独自のカラーでホラー・スプラッターを続々発表している監督が大勢いますが、今回のこの映画は、それらをもっと素人にした連中が、血糊の量だけは負けないとばかり、特殊メイクのテクニックだけをトム・サヴィーニから学んだような、そんな作りの映画。だからテクニック先行で、映画自体の内容はというと…。

これまたトンでもない映画でした。座礁して、ある島にボートでやってきた3人の男たち。上陸後、訳の分からないカルト集団に捕まり、そこで地獄のような体験をするという、まぁ、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』のドイツ版って事はないのですが、面白さという点では、『ブレア〜』なんかより、ずっと上。とにかく、ここまでやってイイのか!? と思うぐらいの、スプラッター・シーンの連続で、ナンか、ルイスもロメロもフルチもライミも、みんな歴史の彼方へ飛んでしまったかのような、徹底した残酷さが売り物。

多分、これは病気ですネ、一種の。単に、人の首を切ったらどうなるんだろうとか、内蔵をかき回したら…とか、足をポキって折ったら…とか、脳天から切れ目を入れて、そのままズバっと切ってしまったら…とか、まるで、子供が捕まえた昆虫や動物に対して、ムチャな生体実験を行っているような、そんな興味本位だけで映画が作られているようで、ある意味、快楽の為の虐殺という点では、『ソドムの市』に似て無くはないものの、ここには、ワハハと笑って見過ごせるような、脳天気な明るさが全編に漂っていて、それが最後まで、楽しんで(?)観られる要因なのかも知れません。ホント、これは病気ですネ、作っている連中は。バカヤロばかりだと思います。

しかし、原題を見る限り、これがシリーズの3作目だって事が分かるのですが、では、1作目と2作目は、どんな映画なのか、ちょっと興味を持ってしまったものですが、多分、これが一番面白くて出来が良いのではないかと思われます。ホントかどうか知らないけど…。ゾンビ・ファンには、途中で出てくるゾンビ軍団が評判らしいですが、何故クライマックスに現れないのか、ちょっと意外でした。その方が盛り上がったのに…。

 

★午前9時05分

いよいよ佳境に入ってきての9本目。ここに来て、また随分強烈な映画が残っていたものです。多分、みんな一度は目にした事のある、『八仙飯店之人肉饅頭』(93)。二度と観ないと誓ったのに、また封印を解いてしまうとは…。

      

いや、もうマイりました。もうこの映画に関しては、あまり何も言いたくないですネ…。触れたくないというか、思い出したくないというか。今回はこういう企画だったので、イヤイヤながらに観てしまったのですが、決して楽しんで観られる内容の映画なんかではなく、もう一度観れば十分。『ブレードランナー』の冒頭に出てくるオッサンじゃないけど、「一つで十分ですヨ〜」て感じです。

実話らしいですが(よく考えたら、今回セレクトした大半は実話だ!)、そんな事はどうでもイイです。これ程、全編に渡って、観ている人の神経を逆撫でする映画も珍しいです。憎々しい犯罪者(アンソニー・ウォン絶品!)もそうですが、それを尋問する警察側も、負けじと残虐行為で応酬。ちょっとした戦争ですネ、これは。

そしてクライマックスの一家皆殺し。観てられませんネ〜、マッタク。ここまで描いてイイものなのかと、クビを傾げたくなってしまうもので、殺人犯を告発する為に作られたのかも知れない映画ですが、観終わった後、ただひたすら、「イヤなものを観た」という感じしか残らないのは、作り手側は分かっているのでしょうか。これを観て喜ぶヤツは、尋常じゃないですネ、絶対に…。

 

★午前10時45分

いよいよオーラス。ある意味、今回のメイン・イベント。某K氏からの提供で、貴重な映画の登場。と、その前に、おまけ上映。同じく某K氏が提供して下さったテープで、「ウルトラセブン第12話」を特別上映。勿論、永久欠番となっている「遊星より愛をこめて」である。

      

今回もかなり画質の悪いテープ。登場人物の顔がほとんど判別出来ません。しかも、実相寺監督作品だけに、やけにカメラワークに凝ってあるので、構図が凄くヘン。人物の前に絶えずモノが置いてあったり、ほんどがミディアム・ショットばかりで、顔がアップになる事はないので、ナンか居心地が悪い。しかも、ウルトラセブンとスペル星人の戦いは、途中何度もストップ・モーションになったりして、やっぱりヘン。怪獣特撮モノというより、芸術作品を観ているよう。そこが狙いかも知れませんがネ、実相寺監督の。

内容は、別に問題ないのではないでしょうか。「被爆」という言葉も、出てきませんし。ドラマ自体は、宇宙人の侵略+吸血鬼モノのバリエーションって感じで、反核のメッセージというより、宇宙人と地球人が仲良くなりましょうっていうのがテーマのようで、これが放映禁止になるというのは、どう考えても理解出来ないのですが。少なくとも、『ノストラダムスの大予言』よりは、社会派だとは思います。

 

★午前11時11分

続いて休憩ナシに一気にオーラス。さっきも言ったように、本日のメイン・イベント。我が日本の東映が放った鉄砲玉・石井輝男監督の不朽(?)の名作『江戸川乱歩全集/恐怖奇形人間』(68)であります。

      

そうですか。これが噂に聞いていた『恐怖奇形人間』ですか。素晴らしい! 何度でも観たい映画ですネ〜、これは! なかなか観る事が出来なかったもので、ワイズ出版から出ているシナリオブックを買って読んだりして、大体の骨格は掴んでいたのでしたが、しかし、読むのと観るのとでは大違い。シナリオに書かれていたイマジネーションをさらに飛躍させた石井輝男監督の素晴らしい才覚に脱帽です。

狙っているのかどうか、所々笑えるシーンがあるのですが、それが却ってこの不思議な映画に魅力を与えているようで、出演者の大仰な演技といい、転がりまくるストーリーといい、そして、禁止用語・差別用語が交錯するセリフの数々(当時としてはOKだったのですが…)といい、今の感覚で観ても十分楽しめる映画で、これがちゃんと探偵映画になっているってんだから、ここまでエンターテインメトに徹してくれていれば、何も言う事はありません。

それに、劇場で観たらみんな爆笑すると言われている例のラストの花火打ち上げシーンですが、僕は逆に、感動に包まれてしまいました。決して結ばれない二人の思いが、夕闇(でしたっけ?)の空に「お母さ〜ん!」という声と共にこだまするあのシーン。泣けてしまいました。おかしいのかな…!?、僕…。

続々と登場する奇形人間も、見せ物小屋的で、別にイイんじゃないですか。テレビで放映する訳ではないんだから、ビデオになっても十分イイと思います。って、勝手にそう思ってもダメな訳ですが、せめてDVDでコッソリとリリースってのは、ダメなのでしょうか? 世紀も変わった事だし…。「お母さ〜〜〜ん!」

 

★午前12時50分

今日も、全てのプログラムが終了しました。今回は、テーマがテーマだけに、最初からずっと、重苦しい空気が流れ続けていましたが、最後の最後に、爽やか(?)な作品に巡り会えて、何とか、スッキリして終わる事が出来ました。あとは、毛布にくるまって深い眠りにつくだけです。でも、このまま寝てしまうと、ナンか、恐ろしい夢でも見てしまいそうで、もう一度シャワーでも浴びて、目を覚ました方がイイかも知れません。でも、やっぱり眠気の方が勝ってしまいそうで…。とにかく、お休みなさい。もう二度と、こんな企画はしません。やっぱり、面白い映画ばかり観るのが、精神衛生上も、絶対にイイと思うし…。ホントに…、お休み…な・さ・い…。

 

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