★1月1日(木)

 年末に買ったDVDで『最後の海底巨獣』を観る。奇しくも、12月30日分としてアップした「31年前の映画日記」でも取り上げた映画である。31年前以降にも観ている筈だが、まさしく超久しぶりの再会。丁度、年末にDVDリリースされて、懐かしいと思い購入したものだけど、31年前の年末に観ていたという事もあり、まさに年末気分で観てしまったもの。

 南海の島で港の開発工事を行う為、海底でダイナマイトを爆発させていたら、その衝撃で海底に眠っていた太古の恐竜が蘇えるという単純なプロットの映画で、特撮もチープで登場人物もステロタイプという、普通ならつまらない映画になってしまうところなんですが、これが意外に面白いんですな。ストップ・アニメーションとギニョールで構成された恐竜の特撮が、チープながらも良く出来ていて、ナンていうか、手作り感に溢れているのがイイんですな。子供向けを狙っているせいか、恐竜の表情もそんなにリアルに作られていないのも手伝って、ナンかほのぼのとした感じ。ストーリーも単純ながらも、良い人がいて欲に駆られた悪い人がいてというパターンが、この手の映画にピッタリで、安心して観ていられるのもイイんですな。

 キーとなる少年が恐竜にやたら詳しいという設定も、怪獣マニアの少年にはグッとくるインパクトで、彼が原始人と親しくなり、アパトザウルスの背中に乗って島を闊歩する辺り、この映画を観ている少年たちの夢を叶えてくれているみたいで、これまたグーなんですな。今回観ていて思ったんですが、こういう映画こそ、少年たちにもっと見せるべきなのではないですかね。悪い事をすれば自分に帰って来るんだという当たり前のようで、最近はとんと忘れ去られている教訓がちゃんと描かれているし、自分を犠牲にしてまでも人の為に尽くす事は美徳であるという事もちゃんと描かれていて、これ程少年・少女の育成の為になる映画もありませんな。恐らく、作っている方も、それを意識して作っているに違いないでしょうからな(違うかもしれませんが…)。

 コメディ・リリーフとして原始人を登場させる辺りも上手く、恐竜と少年を繋ぐ橋渡し的役割を果たしているのも上手い構成ですな。特撮をケチったのか、最後ティラノザウルスが海に落ちるシーンが無いのが物足りなく思いましたが、それでも爽やかな印象は変わりませんな。最近の殺伐とした世の中の事を思うと、ホッとするような暖かい映画で、こういう映画が今、全く作られていないのが、そもそも世の中を悪くしている原因のような気がしますな。ラスト、恐竜が沈んだ海底をバックに、「THE END」に「?」が付くのは同じジャック・H・ハリス製作の『マックイーン絶対の危機<ピンチ>』と同様のパターンなのには笑いましたが、この人、他にも韓国製の『A*P*E』も、買い上げて公開したほどの怪獣ファンのようで、こういうプロデューサーが現在でも一人ぐらいいて欲しいものですな。

 因みにこの映画、ユニヴァーサル映画だったんですな。今はパブリック・ドメインになってるみたいで、結局今回が日本で初のソフト化という事から考えても、今まで無視されていたというのも、今の日本の実情を表しているようで、ナンですな。

 

 

★1月2日(金)

 DVDで『タワーリング・インフェルノ』を観る。何故か正月になると観たくなるのがパニック映画ですが、これもそんな1本ですな。出来れば『ポセイドン・アドベンチャー』から先に観るべきだったんでしょうが、リメイク版の『ポセイドン』を観たりしていたので、最近観ていなかったコチラの方を選択したものでありました。

 今回も一気に観てしまいました。最近、DVDで観ていても、途中でウトウトと眠くなる事が多いんですが、今回は全く眠気を起こさなかったのはさすがですな。ここ何日か睡眠をタップリ摂っていたという事もありますが、やはり名作たる所以でしょうな。とにかく、アッという間の2時間45分でありました。

 で、今回観ていてある事に気付きました。それは何かと言うと、この映画、とても客観的に作られた映画であるという事を発見したんですな。もっと言うと、とても大人の目線で作られているという事なんですな。それはどういう事かというと、登場人物一人ひとりの立場になって考えると、それぞれが納得出来る行動を取っている事が分かるんですな。

 例えば、ここで一番の悪人として描かれているリチャード・チェンバレンですが、自分が彼の立場だったとしたら、やはり同じ事をしていたと思うんですな。つまり、それまで散々、ピンハネする為に仕様を変更して材料費を浮かしていた訳で、それと同様の事を今回のグラス・タワーにもやってしまっただけの事で、勿論、人道的にも社会的にも許されない行為ではありますが、一度甘い汁を吸ってしまうと、もうやめられなくなるのは、人間としては分かる気がするんですな。今回タマタマ火事になったけど、彼としては今までと同じ事をしたまでで、その件で彼だけじゃなく、他にも恩恵を被った人がいた筈ですからね。勿論、最後の行動は、決して許されない行為ではありましたが、それ以外は、彼の立場としては分かる気がするんですな。

 その恩恵を被っていた一人が、義父であり社長であるウィリアム・ホールデンで、彼もまた、チェンバレンと同様、この火事の原因を作った一人ではありますが、自分がホールデンの立場になってみた場合、やはり彼の行動に納得してしまう部分があるんですな。彼は最初、頑なにパーティー会場を変更する事を拒んでいたけど、分かりますなあの気持ち。せっかくの竣工式の晴れ舞台、上院議員や市長も来ている中で、そんな50階下のボヤ程度で会場の変更なんて出来るかというあの気持ち。自分があの立場でも、そういう気持ちになりますな。マックイーンの消防士が来た時も全然譲る気は無く、恐らく、来賓の誰かが反対したら、それを盾に強引に押し切ろうとしていた筈だと思われますな。ワタシでもそうしますもんね。せっかくのパーティーを台無しにされたくありませんものね。元はと言えば、この社長の要望で仕様変更(材料偽装)が始まったとも言え、この社長にも大いに罪はある訳ですが、この社長もチェンバレンも、最初は良い人間だったんでしょうな。それが、ちょっとした出来心から、甘い汁を吸うようになり、それがヤメられなくなっただけなんでしょうな。

 建築屋のポール・ニューマンは、自分が設計したビルであるにも関わらず、実際の建設には携わらず、暫く砂漠へ(別の仕事か…?)行っていた為に管理できていなかった事を嘆く訳ですが、この気持ちも大いに分かりますな。自分のビルが、姑息な悪人たちによって偽装建築されていた事に、プライドがズタズタに引き裂かれた事であったと思い、その結果、仲間や罪の無い人たちが次々に死んでいく訳だから、居た堪れない気持ちでいっぱいだったでしょうな。だからこそ、あそこまで超人的な行動も取れたと思う次第で、自分がニューマンの立場でも、命を投げ出しても一人でも多くの人の命を守りたいと思う筈ですな。

 という具合に、昔、単なるスペクタクルなパニック映画として楽しんで観ていたこの映画も、大人の立場になった今の目で観てみると、登場人物一人ひとりの立場になって考えてみると、単なるイイ奴悪いヤツという図式に納まらないものがあるなぁと納得してしまったものではありました。最近、日本でも様々な偽装が問題になっていますが、それをまさしく絵に描いたように映画にしたのがこの映画だった訳ですね。この事件の後、責任問題を追及されて、ホールデン社長と設計士のニューマンが、謝罪会見でさらし者になっている図が浮かんでくるようであります。

 この映画、公開当時は、消防関係者やビルの管理責任者等に、「観るように」と言われていたようですが、今では全ての会社の管理職クラスに、もう一度観直して欲しいものではありますな。そういう意味に於いても、この映画は後世に語り継ぐべき名作だと思う次第であります。

 

 

★1月4日(日)

 年末に買ったDVDで『大怪獣出現』を観る。先日観た『最後の海底巨獣』と一緒に買ったもの。アチラは1960年の映画でコチラは57年と、3年の違いはあるものの、まぁ、大体似たような時期の映画ですな。巨大なカタツムリの化け物が“世界に挑戦”する映画で、よくSF関係の書籍にスチル写真が掲載されていた有名作。今回初めて観たんですが、いやぁ驚きました。メチャクチャ面白いじゃないですか!

 よくあるパターンの展開なんですが、とても理詰めで展開され、しかも無駄なシーンが一切無いテンポの良さ。通常この手の映画で、特にマイナー系の映画だと、途中でダレたり冗長なシーンが何箇所かあるんですが、この映画には一切無いんですな。つまり、スピーディーかつ見せ場の連続という、この手の映画の理想的な構成になっているのにはビックリ。一応ユナイト映画なので、メジャー系の映画ではあるんですが、それにしてもこのテンポの良さは特筆もの。後の『ジョーズ』なんかも、この映画をヒントにしているのではないかと思われるような痕跡もあり、いやぁ恐れ入りました。

 深夜に見始めたのに、キッチリ最後まで観てしまった程で、まさかこんなに面白いとは知りませんでした。御見それしましたです。ヒーローが全然ヒーローらしくないのが少し不安で(そこがハラハラさせてもいるんですが)、最後の決戦シーンなんか、軍人なのに武器を持っていないが気になったものの、まぁ、イイですな。

 昼間、テレビ放映されていた『難波金融伝 ミナミの帝王/野良犬の記憶』を観る。昔は年末年始になると、深夜とかで連続放映されていたんですけどねぇ、このシリーズ。最近はやってくれませんな。つまらないバラエティ番組を観るよりよっぽど暇つぶしになるんですけどねぇ。

 という事でこの作品、どうだかなぁ、観た事あったっけなぁと思いながら観ていたら、3〜40分ほど経った所で、以前観た事のある作品だと気が付いた。ま、いつも通り面白かったっす。で、発見した事が一つ。今回の出演者の一人、山村紅葉って結構巨乳だったんですね。まぁ体型からして推測は出来そうなものですが、今回観てて、ソソられるシーンが何箇所かありました。そろそろヌード写真集なんて如何でしょうか。誰も買わなくてもワタシは買います。買い占めます。

 

 

★1月8日(木)

 DVDで『13日の金曜日』を観る。随分前に買っていたのに、全然観ていなかったDVDの1枚で、実は以前、途中まで観ていたものの、そのまま観ずに終わっていた作品でもありました。今回、急に何故観てしまったのかというと、来月にアメリカ盤で、3作目のDVDが3Dバージョンでリリースされるという情報を掴み、じゃあそれまでに1作目からおさらいしておこうと思い立ったからであります。といっても、2作目は持っていないのですが、これを観終わったあと、すぐに中古盤を手配しちゃいました(笑)。

 さて、久しぶりに観た第1作ですが、まぁ、そこそこ楽しめますな。5作目以降は、別にジェイソンでなくてもイイようないい加減な作りだったのに対し、一応完結編である4作目辺りまでは、ジェイソンとクリスタル湖に拘った構成になっていたので、楽しめましたな。

 当時はまだ無名だったケヴィン・ベイコンが顔を見せている事でも有名な作品ですが、一番派手な殺され方をしているのが、その後の活躍ぶりを思い起こさせてイイ感じでしたな。基本的に、ジェイソンが犯人ではない、シリーズでも特殊な作品ではありましたが、ジョイソン級な殺しを展開する母親がなかなかイイですな。でも、何で最後の一人になって手間取るんでしょうね。ま、この映画だけではないですが、余計な説明なんかしてないで、さっさと殺せばいいのに…と思ってしまいますな。

 

 

★1月10日(土)

 未明、DVDで『北陸代理戦争』を観る。急にどうしても観たくなって、いくつものダンボール箱から探し出してようやく見つけたヤツ。

 もう何度も観ているので、何も言う事はありませんな。この手の映画は、最後にあまりカタルシスが得られないんですが、この映画は意外にもスカッとした終わり方になっているのがイイですな。割り方、松方弘樹主演の映画は、そういうパターンが多い気がしますな。

 あと、この映画といえばいつも話題になるのが渡瀬恒彦の事故ですが、誠に残念でなりませんな。予告編まで出来ていたという事は、撮影の最後の方での事故だったんでしょうな。

 DVDで『ヒドゥン』を観る。『北陸代理戦争』のDVDを探してる時に見つけたもので、最近某掲示板でこのタイトルを目にした時、久しぶりに観てみたいと思っていたもの。

 ホント久しぶりである。何度観ても面白さは変わりませんな。アクションは勿論、SFとしてもホラーとしてもサスペンスとしても、どれも上手くブレンドしてあり、まさにネオ・エンターテインメントの面白さ。ラストもしっかりしているのがイイですな。

 

 

★1月22日(木)

 仕事帰りにレイトショーで『感染列島』を観る。ポイント鑑賞がもう1回できるので、それで観たヤツ。やっぱりこの手の地雷的映画はタダで観るに限りますなぁ。でも、タダで観たからといって、面白くなくてもイイという事ではなく、面白ければそれで、得した気分になるんだから、ちょっとでも淡い期待を抱くというもの。しかしそれも、杞憂に終わりましたな。杞憂という言葉をこんなところで使うのは間違ってると思われますが…。

 それにしても内容はともかく、主演二人の演技のヘタさ加減には閉口してしまいました。基本的に演技の基礎が出来ていませんな。男前だから、美女だから映画に主演できるという時代が、まだ続いていたとは恐れ入りました。

 

 

★1月24日(土)

 今日から初日の『007/慰めの報酬』をレイトショーで観る。これが22作目ですか。5作目と7作目を除いて、他は全て劇場で観てきたこのシリーズですが、前作からガラリと趣向が変わって、リアルなボンドを目指すとか何とか。でも、昔から観てきたファンにとっては、迷惑極まりない“チェンジ”ですな。秘密兵器も、美女とのラブアフェアも、トンデもない企みの悪党も、洒落た会話も、何も出て来ないで何が007か。これはボンドじゃない。007じゃない。アクション映画としては及第点ですが、007として見れば、合格点は上げられませんな。

 

 

★1月25日(日)

 夕方テレビで放映していた、『難波金融伝 ミナミの帝王/劇場版PART[・リストラの代償』を、録画したHDで観る。多分、観た事あるだろうなぁ…と思いながら観たら、始まって5分ぐらいで観た事あるヤツと気付いた。でも、最後まで観てしまった。1時間半の暇つぶし。競馬に負けた後の憂さ晴らしとしては、気付け薬としての効能はありますな。

 

 

★1月27日(火)

 輸入DVDで『謎の完全殺人』を観る。最近リリースされた作品。これ、観たかったんですよねぇ。昔テレビ放映で一度観た事があり、凄く面白かった印象があるんですよね。邦題通り、“謎の殺人事件”を追う刑事の話なんですが、その殺しの方法が、超能力を使って行うという、作られた当時(1973年)には斬新で画期的な方法だったんですな。後の『キャリー』『フューリー』『スキャナーズ』を先取りしたような内容で、それがミステリー・タッチというのがイイんですな。しかも、結構スプラッターしているのも見もので、当時テレビで観て「凄げぇ!」と感激した覚えがありました。勿論、今観たらそう大した事はないですが、それでも結構凄いんですな。

 因みに“完全殺人”というのは、超能力を使って人を殺す=犯人は別の場所に居る…ので、容疑者にはアリバイがある為、警察が苦労するというもの。犯人は、復讐の為殺人を繰り返す訳ですが、超能力で殺人が行われた事を理解した刑事が、それを阻止する為に取った行動がこれまた強引で、その辺りはいかにも70年代って感じでしたね。

 

 

★1月28日(水)

 輸入DVDで『血のバレンタイン』を観る。上記の『謎の完全殺人』と同時に注文した輸入盤でしたが、コチラの方が後で発売という事で、今日やっと届いたもの。以前にもこの映画のDVDはリリースされていましたが、今回はナンといっても“特別版”でのリリース。そう、世界中で日本でのみ公開されたという“ゴア・シーンをカットしていない完全版”でのリリースという噂があったもので、今日、それを確認する為に、早速観たのでありました。

 当初は、カットされたシーンは“削除シーン集”として特典映像のみに収録という予定でしたが、リリース直前になって、「本編に収録されて完全版でリリースされるかも…」という噂も流れまして、実際に観るまで半信半疑だった訳ですが、今観終わったところ、確かにこれは完全版でありました! ワタシが1981年9月にOS劇場で観た、あの伝説のノーカット完全版そのものでありました!

 カットされたフッテージは全部で11シーン(詳しくは「輸入DVDレビュー」を参照)で、時間にして1分足らずでありますが、やはりそれがあるのと無いのとでは、面白さ=恐さが全然違いますからね。そのシーンになると、長らく封印されてたからか、多少のフィルム傷が発生するのは致し方ないですが、そんな事も、そのショッキングなゴア・シーンに打ち消されてしまいますな。いやぁ、まさに感無量、地球に生まれて良かった〜! ですな。

 

 

              

inserted by FC2 system